飲食店を経営する際、正しく把握しておきたいのが接客用語です。
基本的な接客用語を把握しておかなければ、失礼な接客や言葉遣いによってせっかく来店してくれたお客さんを嫌な気持ちにさせてしまいかねません。
また、接客や言葉遣いがクレームにつながることもあるでしょう。
そこでこの記事では、経営者やスタッフなど飲食店で働く人が把握しておきたい基本的な接客用語について紹介していきます。
- 敬語
- クッション言葉
- 飲食店でよく使われがちな間違った接客用語
などについても紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店経営者やスタッフが覚えておくべき基本的な接客用語
接客は数をこなせばこなすほど上手くなり、学べば学ぶほど洗煉されていきます。
そのため、現場に出て実際に接客しながら学んでいくのが一番なのですが、間違った言葉遣いでお客さんに不快な思いをさせてしまわないためにも基本的な接客用語はマスターしておくべきです。
経営者やスタッフなど飲食店で働く人が覚えておくべき基本的な接客用語について解説していきます。
いらっしゃいませ
「いらっしゃいませ」は、店舗に来店したお客さんを迎え入れる言葉です。
店舗の第一印象を決める接客用語で、最も重要な接客用語になります。
言い方や声のボリュームなどは店舗の雰囲気に合わせるようにしましょう。
かしこまりました
お客さんから注文や要望を受けた場合、「了解しました」や「わかりました」は適切ではありません。
これらの言葉も丁寧語ではありますが、相手に対しての敬意を示す表現である「かしこまりました」を使うようにしましょう。
少々お待ちください
「少々お待ちください」は、お客さんに待ってもらうときに使う接客用語です。
「少々お待ちくださいませ」や「少々お待ちいただけますでしょうか?」にすると、より丁寧な表現になります。
お待たせいたしました
「少々お待ちください」と言ってお客さんを待たせてしまったときに使うのが、「お待たせいたしました」です。
待たせてしまい申し訳ありませんという気持ちを表現する接客用語になるので、お客さんを待たせてしまったときにはこの言葉を必ず添えるようにしましょう。
恐れ入ります
お客さんに対して提案したりこちらからの要望を伝える際に用いるのが、「恐れ入ります」という表現です。
いきなり提案や要望を伝えるのではなく、「恐れ入りますが…」という風に会話をスタートさせます。
また、お客さんから褒められたときなどに使う場合もあります。
申し訳ございません
「すみません」という言葉は、お客さんに対して使用するには丁寧さが足りません。
不便な思いをさせてしまったときなどお客さんに謝るときは、「申し訳ございません」と言うようにしましょう。
ありがとうございます
お客さんに感謝を伝える「ありがとうございます」も、基本中の基本の接客用語です。
お客さんが退店する際は「ありがとうございました」と言い換え、「またお越しくださいませ」と添えるなどして気持ちよく退店してもらえるようにしましょう。
退店時に気持ちいい対応ができると、また来店したいと思ってもらえるようになります。
接客のときに活用したい敬語とクッション言葉
先ほど紹介した基本的な接客用語とあわせて活用したいのが、「敬語」と「クッション言葉」です。
敬語には、次の5つの種類があり、それぞれを適切に使い分けることが大切です。
- 尊敬語
- 謙譲語
- 丁寧語
- 丁重語
- 美化語
また、クッション言葉を上手く使えるようになれば、接客の質も向上します。
敬語の種類とクッション言葉について詳しく解説していきます。
尊敬語
尊敬語は、動作やものごと、状態などに使用される敬語です。
「名前」を「お名前」と言い換えたり、「する」を「なさる」に言い換えて「いかがなさいましたか?」という風にして活用します。
謙譲語
自分の動作をへりくだって表現することで相手の存在を高めるのが、謙譲語です。
例えば、来店したお客さんを案内することをご案内に置き換えて「ご案内いたします」と表現したり、説明をご説明に置き換え「ご説明いたします」と表現するなどして活用します。
丁寧語
名前のとおり、なるべく丁寧な言葉遣いで相手に敬意を示すのが丁寧語です。
代表的な表現としては、
- です
- ます
- ございます
などがあげられます。
丁重語
もともと謙譲語の一部であった丁重語は、自分だけで完結する動作に対してへりくだる際に用いられます。
「する」を「いたします」と表現したり、「言う」を「申します」と表現するなどして活用します。
美化語
丁寧な言葉遣いで相手に敬意を示すのが、美化語です。
「飲み物」を「お飲み物」と表現したり、「料理」を「お料理」と表現するなど、頭に「ご」や「お」をつけることでより綺麗で丁寧な言葉に変換します。
クッション言葉
飲食店では、お客さんにお願いをしたり、お客さんからの要望を断らなくてはいけない場面が多々あります。
また、お客さんから間違った指摘を受けてしまった場合など反論しなくてはならないケースが出てくることもあります。
そんなときに活用したいのが、「クッション言葉」です。
代表的なクッション言葉としては、
- 恐れ入りますが
- 申し訳ありませんが
- お手数おかけいたしますが
などがあげられます。
例えば、名前の記入をお願いする場合、いきなり「こちらにお名前をご記入ください」と言ってしまうと高圧的な印象をあたえてしまいかねません。
そこで、「恐れ入りますが」や「お手数おかけいたしますが」など頭にクッション言葉を添えこちらが恐縮していることを伝えることで、高圧的な印象を解消できるようになります。
クッション言葉は、飲食店での接客において必要になる場面が多く、マスターしておくと役立つので、ぜひ活用するようにしてください。
飲食店経営者やスタッフが使うのを避けたいNGな接客用語
飲食店で日常的に使われている言葉の中には、間違った使い方をされてしまっているものが多々あります。
あまりにも耳にする機会が多いので気にならないという方も少なくありませんが、間違った言葉での接客がいつクレームにつながるかわからないので、早めに矯正しておくべきです。
飲食店で使うのを避けたい間違った接客用語について解説していきます。
よろしかったでしょうか?
お客さんから注文を取る際に使ってしまいがちなのが、「よろしかったでしょうか?」という表現です。
注文の内容を確認する際に「ご注文は〇〇でよろしかったでしょうか?」などといった形で使ってしまいがちですが、「よろしかった」だと過去形になってしまい、適切ではありません。
「ご注文は〇〇でよろしいでしょうか?」とたずねるようにしましょう。
~になります
料理を提供するときに使ってしまいがちな「こちら〇〇になります」という表現もNGな表現の一つです。
「~になります」は変化したことを表現する際に使う言葉です。
飲み物や料理など飲食店で提供するものは何かしらの変化を遂げているものではないので、「こちら〇〇でございます」「こちら〇〇です」などと表現するようにしましょう。
~のほう
接客や敬語の扱いに慣れていない人が多様してしまいがちなのが、「〇〇の方」という表現です。
「〇〇の方」という表現は、方角を表すときや選択肢があるときに活用する表現で、「飲み物の方~」や「料理の方~」といった使い方はNGです。
「こちらの鉄板の方、お熱くなっておりますので…」ではなく、「こちらの鉄板お熱くなっておりますので…」と、簡潔に表現するようにしましょう。
~からお預かりします
会計をおこなう際、「一万円からお預かりします」と表現する方は少なくありませんが、この言葉遣いも間違っているため注意が必要です。
「〇〇から」は、「あちらから」など距離や場所の起点を表す言葉です。
また、「~といった理由から」などと活用されることもありますが、いずれにしても代金を受け取るときに使用する表現ではありません。
「一万円お預かりします」とシンプルに表現するようにしましょう。
〇〇いたしますか?
「コーヒーはアイスとホットどちらにいたしますか?」など、「いたしますか?」という表現も多用される表現です。
しかし、「いたす」はへりくだった表現であるため、お客さんを下に見てしまうことになります。
正しくは、「〇〇なさいますか?」になります。
お名前を頂戴できますか?
領収書の宛名を記載するときや電話対応のときによく使われる「お名前を頂戴できますか?」という表現も正しい言葉遣いではありません。
名前はもらうものではありませんので、「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」と表現しましょう。
とんでもございません
「とんでもございません」という表現は、お客さんから褒められたときなどによく使用されます。
自分を謙遜する表現として勘違いされている「とんでもございません」という表現ですが、自分を謙遜する際に用いる言葉としては不適切です。
お客さんから褒められて謙遜する際は、「恐れ入ります」と表現するようにしましょう。
まとめ
経営者やスタッフなど飲食店に携わる人が覚えておきたい基本的な接客用語について紹介してきました。
今回紹介した接客用語は基本中の基本ではありますが、これらの基本的な接客用語とNGな接客用語を理解していれば、少なくともお客さんを不快にするような接客は避けられるはずです。
また、あわせて紹介した敬語やクッション言葉を活用することで、よりレベルの高い接客を実現できるようになるでしょう。
接客用語は日常生活で使う言葉ではないので、覚えるのが大変です。
慣れるまでは違和感を感じるかもしれませんが、ぜひ意識しながら使ってみてください。