自社でのビジネスの展開が上手くいき始めた場合、次の展開として多くの経営者が検討し始めるのが「フランチャイズ展開」です。
実際、本部を構築してフランチャイズを広く展開していきたいと考えている経営者も多いのではないでしょうか?
ただ、フランチャイズ本部の構築はやるべきことや決めるべきことが多く、勢いだけで始めてしまうと失敗してしまいかねません。
そこでこの記事では、フランチャイズ本部の構築について紹介していきます。
- メリット・デメリット
- 具体的な立ち上げの手順
- 立ち上げの際のポイント
など詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
フランチャイズ本部を構築するメリット
企業がフランチャイズ本部を構築する主なメリットとしては、以下の3点があげられます。
- 収益が安定する
- リスクを抑えながら店舗数を増やせる
- シェアを獲得できる
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
収益が安定する
本部構築をおこない、フランチャイズとして加盟する事業主が増えると、加盟金やロイヤリティなどによる収益が発生するようになります。
加盟金は事業主が貴社のフランチャイズに加盟する際に支払うものです。
支払いの義務が発生するのは一度だけですが、100万円以上で設定されていることが多く、大きな収益源になります。
ロイヤリティは本部に毎月支払われるもので、「売上の何%」という形で設定されていることがほとんどです。
フランチャイズに加盟する事業主が増えれば増えるほど毎月のロイヤリティの金額も多くなり、収益の柱の一つとして機能してくれるようになります。
リスクを抑えながら店舗数を増やせる
企業が店舗を増やそうと思った場合、
- 不動産の初期費用
- 賃料
- 設備費
- 人件費
- 広告費
など、数百万円単位の費用が発生します。
これだけお金をかけても失敗してしまう可能性があることを考えると、新規店舗の出店はかなりリスキーです。
一方、フランチャイズ本部を構築して加盟者に出店してもらうようにすれば、リスクを最小限に抑えつつ店舗を増やせるようになります。
加盟者とのトラブルというフランチャイズならではのリスクはありますが、店舗数の増加にともなうリスクを抑えられるのは非常に魅力的です。
シェアを獲得できる
店舗数が増えることによって得られる新たなメリットの一つが、業界でのシェア獲得です。
店舗が増えると、知名度が高まり、店舗により多くのお客さんが訪れてくれるようになります。
そうなると、
- フランチャイズに加盟したいと考える事業主が増える
- 店舗数が増える
- 店舗を利用してくれるお客さんが増える
という好循環が生まれ、業界でのシェアを獲得できるようになります。
飲食店や小売店など店舗型のビジネスでのシェア獲得は店舗数がものを言いますが、自社のみではスピード感を持って店舗数を増やすことができません。
一方、フランチャイズ本部を構築して加盟店を増やしていけば、驚異的なスピードでシェアを獲得できるようになります。
フランチャイズ本部を構築するデメリット
フランチャイズ本部の構築は魅力的なビジネスモデルですが、デメリットがないわけではありません。
本部構築を検討しているのであれば、メリットだけでなくデメリットもしっかりと確認しておかなくてはいけません。
フランチャイズ本部を構築する主なデメリットとしては、次の2点があげられます。
- システムの構築に手間がかかる
- コストがかかる
それぞれのデメリットについて解説していきます。
システムの構築に手間がかかる
フランチャイズに加盟してもらうにはシステムを構築して仕組みやノウハウを提供できるようにしなくてはいけません。
ただ、このシステム構築にはとにかく時間と手間がかかります。
自社がビジネスをおこなっていく上で得た経験やノウハウをマニュアルに落とし込んでいく作業だけでも、相当な労力がかかるはずです。
そのため、フランチャイズ本部を構築する場合は、数ヶ月単位でシステム構築に取り組める組織づくりが必要になります。
コストがかかる
システムの構築は片手間でおこなえるようなものではないため組織を作る必要がありますが、組織の編成にはコストがかかります。
また、フランチャイズを事業として展開していくのであれば、加盟者をサポートする体制づくりも必須になるので、ここにもコストがかかることになります。
フランチャイズ本部を構築する方法
フランチャイズ本部の構築といっても、その方法は一つだけではありません。
主な構築方法としては、2つがあげられます。
- 自社でイチから構築する方法
- サポートしてもらいながら構築する方法
それぞれの構築方法の概要やメリット・デメリットについて解説していきます。
自社でイチから構築する
フランチャイズ本部を構築する方法として定番なのが、自社でイチから構築する方法です。
事業計画から加盟する事業主を集めるところまで、すべてのシステムを自社で構築していきます。
フランチャイズ本部の構築にはとにかく手間がかかるため、本部構築に関するノウハウがない状態でイチから立ち上げるのは大変です。
その一方で、余計なコストが発生せず、なおかつ他者が一切関与しないため柔軟性が高いというメリットがあります。
サポートしてもらいながら構築する
「フランチャイズ本部の構築を自社のみでおこなえる自信がない」という場合は、専門家にサポートしてもらいながら構築するという方法もあります。
フランチャイズの構築をサポートしている企業や個人に手伝ってもらいながら、システムを構築していきます。
専門家にサポートしてもらいながら取り組むことで失敗を防げるのが、この構築方法のいいところです。
一方、コンサル料金がかかるというデメリットもあります。
フランチャイズ本部を構築する上で知っておきたい立ち上げ手順
自社でイチから本部構築に取り組むのであれば、具体的な立ち上げ手順についても把握しておかねくてはいけません。
フランチャイズ本部の立ち上げは、以下の順番で進めていきます。
- 事業計画を立てる
- 実店舗で検証する
- システムを構築する
- 契約内容を固める
- 加盟希望者を集める
それぞれ詳しく解説していきます。
1. 事業計画を立てる
フランチャイズ本部を構築する場合、まずは事業計画を立てる必要があります。
このときに立てるのは、加盟店の事業計画と本部の事業計画の2種類です。
加盟店の事業計画を立てる際は、自社の店舗のケースを参考にして、
- 初期費用にいくらかかるか
- どれだけの収益が見込めるか
- どれくらいで初期投資額を回収できるか
などを、シミュレーションしていきます。
一方、フランチャイズ本部の事業計画では、
- 一つの加盟店から発生する収益
- 事業を黒字化するのに必要な加盟者数
- 加盟店数の目標や収益目標
などを、策定していきます。
2. 実店舗で検証する
事業計画の策定が完了したら、実店舗を使って検証をおこなっていきます。
この際、計画に基づいたシミュレーションをおこない結果を確かめる必要があるので、店舗を新しく出店しなくてはいけません。
すでにある店舗で検証する事例もあるようですが、加盟者が新規で店舗を出店する場合と条件が異なるため、なるべく新規店舗で検証するべきでしょう。
より再現性を高めるために複数の店舗を新規で出店して検証することもあります。
3. システムを構築する
検証が完了したら、いよいよシステムの構築です。
ここでは、
- マニュアルの作成
- 研修プログラムの作成
- SVシステムの構築
などをおこなっていきます。
マニュアルは、何度も作成と確認を繰り返し、初心者でもわかりやすく再現性の高いものを作っていく必要があります。
研修プログラムの作成は、加盟者が店舗を一人で運営できるようになるまでに必要な研修内容や具体的なカリキュラムの設定をおこなう工程です。
SV(スーパーバイザー)はフランチャイズ店を成功に導く重要なサポーターです。
ここでは、そのSVが店舗運営をどのようにサポートしていくのかを決めていきます。
4. 契約内容を固める
システムが構築できたら契約内容を固めていきます。
ここで特に重要になるのが、契約書の作成です。
契約書は法的な拘束力を伴うもので、加盟者とのトラブルを未然に防ぐためにもしっかりと作り込まなくてはいけません。
完成した契約書は、必ず弁護士に確認してもらうようにしてください。
5. 加盟希望者を集める
準備が整ったら、フランチャイズに加盟してくれる希望者を募っていきます。
ここまでの作業をいくら頑張ってこなしたとしても、加盟してくれる事業主がいなければビジネスとして成り立ちません。
自社のホームページに専用のページを用意するのはもちろん、SNSで発信したり広告を出稿するなどして積極的に加盟希望者を集める必要があります。
フランチャイズ本部の構築を成功させるために押さえておくべき3つのポイント
実際に本部構築に取り組む場合、次の3点を押さえつつ取り組むようにしなくてはいけません。
- 再現性にこだわりシステムを構築する
- ビジネス初心者でも理解できるマニュアルを用意する
- サポートを充実させる
これらのポイントを意識せずに構築し始めてしまうと本部構築に失敗しかねないので注意してください。
それぞれのポイントについて解説していきます。
再現性にこだわりシステムを構築する
フランチャイズのシステムを構築する際は、とにかく再現性にこだわりましょう。
フランチャイズに加盟する事業主は、イチからビジネスを始める必要がない点や成功する可能性の高いビジネスモデルに魅力を感じ、加盟します。
そのため、本部側はなるべく再現性が高く、なおかつ成功する可能性の高いシステムを提供しなくてはいけません。
資金力やビジネスセンスに極力左右されない、誰でも取り組むことができ成功できるシステムになっているかを意識しながら構築するようにしましょう。
ビジネス初心者でも理解できるマニュアルを用意する
フランチャイズに加盟してビジネスを始める事業主の中には、これまで自分でビジネスをおこなった経験がない人もいます。
そういった事業主はビジネスに関する知識が乏しく、だからこそフランチャイズでビジネスを始めたいと考えています。
そのため、加盟者に提供するマニュアルはビジネス初心者でも理解できるものを用意しなくてはいけません。
マニュアルを作成する際は、専門用語やビジネス用語を多用せず、「ビジネスに詳しくない人でも理解できる内容になっているか」を意識しながら作成するようにしましょう。
サポートを充実させる
ビジネス初心者を成功に導くには、わかりやすいマニュアルだけでは不十分です。
悩んだときにいつでも頼れるサポートも用意しておかなくてはいけません。
サポートが充実していないと加盟者の満足度は高まらず、最悪の場合、撤退してしまう可能性もあります。
加盟者の満足度を高めることを意識してサポート体制を整え、充実させるようにしましょう。
まとめ
フランチャイズ本部の構築について紹介してきました。
フランチャイズ本部の構築はやるべきことが多く決して簡単におこなえるようなものではありません。
しかし、その分見返りも多く、上手くいけば大きな収入源になる可能性を秘めています。
自社でイチから構築することもできますが、スムーズに進めたいのであれば本部構築をサポートしてくれる会社の助けを借りるのも一つの手です。
大切なポイントを無視して進めてしまうと本部構築に失敗してしまいかねませんので、必ず意識しながら取り組むようにしましょう。