美味しいお酒とこだわりの料理でお客さんを笑顔にする……そんな居酒屋やバーは、飲食店の独立・開業の中でも人気が高い業態です。
また、居酒屋やバーは、原価率が低いドリンクの提供が中心となるため、経営が軌道に乗れば安定した利益が見込めることも魅力の一つ。
当記事では、実際に居酒屋やバーを開業するために必要な資金や、開業までの流れを説明します。
居酒屋・バーの開業に必要な費用
居酒屋やバーの開業資金は平均500万~600万円です。
ただし、店舗の規模・立地・コンセプトによっては物件の取得費や内装工事費がかさむため、1,000万円以上の開業資金が必要なことがあります。
とはいえ、以前のテナントの設備や備品を残したままの居抜き物件を利用すれば、500万円以下で居酒屋やバーの開業も可能です。
ここでは、居酒屋とバーそれぞれの初期費用・ランニングコストについて解説します。
居酒屋開業に必要な費用
居酒屋の開業に必要な初期費用のうち、大部分(50%以上)を占めるのが物件の取得費と内装工事費です。
そのため、開業資金に余裕がない個人経営の居酒屋の場合、10坪ほどの小規模な店舗からスタートしましょう。
小規模な居酒屋の場合、初期費用の目安は以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
物件取得費 | 150万円 |
内装工事費 | 200万円 |
厨房機器 | 100万円 |
什器備品・事務機器 | 80万円 |
当初の運転資金 | 70万円 |
小計 | 600万円 |
毎月のランニングコストは、以下を目安にしてください。
項目 | 費用 |
---|---|
仕入れ | 20万円 |
家賃 | 15万円 |
広告宣伝費 | 20万円 |
人件費 | 20万円 |
保険・消耗品費・水道光熱費 | 10万円 |
小計 | 85万円 |
また、上記以外にも、居酒屋の経営が軌道に乗るまでの予備資金を確保する必要があります。
実際に居酒屋を開業した後、「毎月の売上が想定よりも少なかった」という事態に陥っても、予備資金があれば日々の支払いに追われることがなく経営に集中できるからです。
なお、飲食店の予備資金の目安は、最低でも賃料の6か月分、理想は10か月~12か月分とされています。
モデルケースの場合、予備資金は最低90万円、理想として150万~180万円あると良いでしょう。
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バーの開業に必要な費用
バーを開業する場合、大掛かりな調理設備(厨房機器)は不要になるため、居酒屋と比較して初期費用が安く済む傾向にあります。
というのも、バーは居酒屋よりもドリンクの注文割合が圧倒的に多く、提供する料理もおつまみのような調理工程の少ないメニューになるからです。
以下は、バーの開業に必要な初期費用の目安です。
項目 | 費用 |
---|---|
物件取得費 | 150万円 |
内装工事費 | 100万円 |
厨房機器 | 80万円 |
什器備品・事務機器 | 100万円 |
当初の運転資金 | 70万円 |
小計 | 500万円 |
個人経営のバーの場合、10坪程度の小規模な店舗で開業することが一般的です。
そのため物件の取得費は比較的抑えられるものの、立地や内装にこだわりたい人は、希望に応じてより多くの開業資金を用意する必要があります。
なお、バーの毎月のランニングコストの目安は以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
仕入れ | 10万円 |
家賃 | 15万円 |
広告宣伝費 | 20万円 |
人件費 | 10万円 |
保険・消耗品費・水道光熱費 | 10万円 |
小計 | 65万円 |
バーの場合、居酒屋と比較してアルコール類が中心のメニューとなります。
扱うお酒の種類によっても仕入れ費用が変動しやすいので、開業前に実際に自分の店舗のランニングコストを試算してください。
また、バーを開業する場合でも、安定した経営のために予備資金が必要です。
目安として、最低額は家賃の6か月分である60万円、理想額は家賃の10ヵ月~12か月分の100万~120万円となります。
0円開業はできる?
居酒屋やバーの場合、500万円以上の高額な初期費用が必要ですが、自己資金が足りなくても開業は可能です。
・フランチャイズやコンサルティング会社の0円開業プランを利用する
・金融機関から融資を受ける
・国や自治体の補助金を申請する
0円開業プランは、ロイヤリティやコンサルティング料などを毎月支払う代わりに、初期費用がなくても居酒屋やバーの開業が可能となる仕組みです。
しかしながら、その場合だと毎月のコストがかさむため、経営は赤字~ほとんど利益がないという状況にもなりえるので注意が必要です。
なお、一般的に飲食店を開業するには、必要な費用の3割以上の自己資金を用意するのが望ましいとされています。
開業資金の不足分については、事業計画書を作成して金融機関から融資を受ける、公的な補助金を申請するといった方法で調達してください。
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居酒屋・バーで独立開業を目指す方へ
居酒屋やバーを開業するまでの流れ
居酒屋やバーを開業するまでの流れは以下の通りです。
・店舗のコンセプト設計
・事業計画
・物件選び
・開業資金の調達
・メニュー開発
・店舗の内装や外装の工事、設備購入
・営業に必要な資格の取得、許可の申請、書類の提出
・スタッフの採用
・事前PR、販促宣伝
・開業
居酒屋やバーを開業するには、他の飲食店同様、食品衛生責任者の資格の取得、飲食店営業許可書の申請、開業届の提出が必須です。
食品衛生責任者
居酒屋やバーなどの飲食店を開業するにあたっては、食品衛生責任者の資格を必ず取得してください。
1店舗につき1人以上の食品衛生責任者がいないと、保健所から飲食店営業許可がおりずに開業できません。
小規模な居酒屋やバーの場合、オーナーや店長が資格を取得するとよいでしょう。
食品衛生責任者の資格は、各都道府県の保健所(または食品衛生協会)を通じて、6時間ほどの講習を受ければ取得できます。費用は一万円程度であり、比較的取得しやすい資格と言えます。
なお、調理師や栄養士等の資格を持っている場合、受講しなくても食品衛生責任者となることが可能です。
飲食店営業許可書
食品衛生責任者の資格を取得した後は、居酒屋やバーの店舗の所轄となる保健所に飲食店営業許可書の申請を行います。
居酒屋やバーで実際に取り扱うメニューによって、実際に必要となる書類や手続きが異なるため、まずは保健所のHPで情報をチェックしてください。
開業届
居酒屋やバーを開業する人は、店舗経営による所得税の支払い義務が発生するようになるため、税務署に開業届(正式名称:個人の事業主の開業・廃業等届出書)を提出します。
開業届は店舗の所轄の税務署に、開業後1か月以内に提出してください。
なお、開業届のダウンロード、その他必要なものの確認は、国税庁のHPから可能です。
居酒屋やバーの開業を成功させるには市場調査が必須
居酒屋やバーを開業して、安定した売上を継続的に稼ぐ店舗を運営するには、事前の市場調査が重要です。
というのも、日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」によれば、黒字かつ自己資本がプラスな居酒屋は435社中54社、バーは100社中12社でした。
つまり、居酒屋やバーの88%は赤字か自己資本がマイナスということになります。
わずか12%の成功する居酒屋やバーになるには、競合調査やエリア調査を行い、他店との差別化や自店舗の強みを見出すことが必須です。
なお、市場調査の方法としては、以下の方法が挙げられるので参考にしてください。
・実際に競合店や出店エリアに足を運ぶフィールド調査
・国やリサーチ機関が作っているレポートの分析調査
・専門家やコンサルティング会社への調査依頼
競合調査
居酒屋やバーの競合調査で着目すべきは、競合店のコンセプト・メニュー・価格帯・客層・サービス内容です。
居酒屋は総合型から専門店型へのシフトが進んでいることや、店舗のメニューそのものが集客にもつながることから、オリジナリティが非常に重要です。例えば、低価格帯の焼き鳥など、コンセプトやメニュー構成だけでも店舗の特徴をターゲットに訴求できます。
バーの場合は、コンセプトがより重要です。
カクテルの充実したモダンな雰囲気や賑やかに楽しめるバルタイプの店舗など、コンセプトが利用シーンにも直結するためです。
エリア調査
居酒屋やバーのエリア調査では、出店エリアの人口構成・世帯構成・年齢層・時間別の人通りなどをリサーチします。
なお、居酒屋やバーの場合、利用客が飲酒目的で来店していることを踏まえ、公共交通機関が充実している、タクシーが多く走っているなど交通の利便性が良い場所がベストです。
居酒屋やバーは時間帯としては夜の営業が中心となり客入りも多くなるため、夕方~深夜に店舗にアクセスが困難となる場所は避けたほうが無難です。
また、極端にへんぴな場所だと、スタッフ募集をしても応募が来ない、という人手の問題もあります。
フランチャイズで居酒屋・バーを開業するメリット
居酒屋やバーに限った話ではありませんが、飲食店を開業する際、フランチャイズに加盟するという方法があります。
フランチャイズでの開業による主なメリットは以下の5点です。
・ブランドや知名度を活用できる
・ノウハウや成功事例を学べる
・開業後もサポートが受けられる
・メニュー開発の手間がない
・効率よく仕入れができる
フランチャイズに加盟する場合、ブランド使用料としてロイヤリティを支払う必要があります。
しかし、個人で0から開業する場合と比較して得られるメリットも大きいため、次項で解説していきます。
ブランド力や知名度を活用できる
フランチャイズに加盟をすれば、加盟店本部の屋号や看板などを使用できます。
フランチャイズ展開しているブランドの多くは、すでに全国的にあるいは特定の地域ですでに人気を得ています。
人気ブランドの場合、店舗名そのものに集客力があるため、居酒屋やバーを開業するうえでは非常に有利です。
さらに、本部が有名人や芸能人をプロモーションに起用している場合、加盟店も恩恵を受けられるのがフランチャイズの大きなメリットと言えるでしょう。
ノウハウや成功事例を学べる
居酒屋やバーは水物商売と呼ばれ、社会情勢に影響を受けやすく、収入が不安定になりがちな業態の一つです。
そのため、綿密な事業計画を立て、多くの時間をかけて市場調査をして開業したとしても、さまざまな要因が絡み合い成功するとは限りません。
また、個人の場合、経営に必要な経験やデータが不足しがちなので、穴埋めとしてフランチャイズの本部を頼れるのは大きなメリットです。
たとえば、SVから収益が上がった手法を直接学べる、好立地の物件の紹介を得られることもあります。
開業後もサポートが受けられる
居酒屋やバーではアルコール飲料を提供する関係で、お酒に関する顧客同士のいざこざや急性アルコール中毒などの難しい対応が必要な場面があります。
フランチャイズに加盟した場合、ブランドを背負う一つの店舗として、事前の講習はもちろん、トラブルに対する各種サポートなどを受けられるのがメリットです。
メニュー開発の手間がない
お酒をたしなむ人が集まる場所としての居酒屋・バーの開業を目的としている場合、フランチャイズに加盟することでメニュー開発が不要というメリットがあります。
フランチャイズの場合、すでに高利益・低オペレーションのメニューが開発されており、新メニューも続々と開発されていきます。
また、飲食を専門とする企業単位で開発を行っているため、中には個人が考案するよりも手の込んだメニューも含まれます。よって、経営に集中したいオーナーにフランチャイズ加盟はうってつけと言えるでしょう。
効率よく仕入れができる
フランチャイズの大規模・大口の仕入れ網を使うことで、個人で小規模に行うよりも効率よく仕入れができます。
未経験で小規模なバーを開業した人の口コミによると、当初はお酒類の仕入れだけで月25万円を費やしていたそうです。
ところが、長く経営を続けるうちに業者との横のつながりができてからは、仕入れを月10万円ほどに抑えられるようになりました。
フランチャイズの場合、未経験者が居酒屋やバーの開業した場合でも、始めから「業界価格」に近い値段で取引ができる傾向にあります。
独自のルートを仕入れルートを使うことで、ロイヤリティを支払ったとしても仕入れ値を安く抑えられる、費用対効果の高い取引ができる、というメリットがあるのです。
なお、フランチャイズ店の仕入れは一般的に以下の特徴があります。
・集客力の高いトレンドにあったメニュー
・原価率が計算されている
・ロスが少なくなるように食材が有効活用されている
・大量仕入れのため、食材を安く仕入れられる
これらをうまく有効活用すれば、店舗の収益性を高められます。
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ゴーストレストランでおすすめのフランチャイズ
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まとめ
居酒屋やバーの開業には平均500万~600万円の初期費用が必要です。
自己資金が不足する場合や、銀行の融資を受けるほか、公的な補助金を申請する、フランチャイズの0円開業プランを利用するといった方法をとりましょう。
なお、開業後も安定した売上を稼ぎ、収益性を高めていくためには、事前の競合調査やエリアごとの分析を外してはなりません。
飲食店の開業が初めての人は、フランチャイズに加盟することで経営ノウハウを学びつつ自分の居酒屋やバーをオープンすることも可能なので、参考にしてください。