「ラーメン屋は儲かると聞いたので、脱サラして開業したい!」
「今は趣味でラーメン作りをしているけど、いつかは自分のお店を持ちたい!」
ラーメン好きが高じてラーメン屋を開業したいと思ってはいるものの、経営が成り立つか不安で起業に踏み切れないという方もいますよね。
当記事では、ラーメン屋は儲かるのかどうかと、儲かるラーメン屋になる方法を紹介していきます。
ラーメン屋が儲かる3つの理由
結論から言えばラーメン屋は儲かります。主な理由は、以下の3点です。
回転率が高い
ラーメン屋では、「食べたらすぐに店を出る」という暗黙のルールが浸透しています。回転率が高いため、10席ほどの小規模な店舗であっても多くのお客さんに来店してもらえるのです。
原価を抑えやすい
一般的に飲食店の原価率は30%、ラーメンの原価率はおおよそ30%〜40%ですが、ラーメン屋はメニューが限定されているため、仕入れる材料を絞ることができます。
他の飲食店と比較すると、工夫次第で廃棄ロスを減らすことが容易であるため、ラーメン屋は儲かりやすい業態の一つです。
国内外の人気が高い
博報堂が運営する生活定点調査によると、「好きな料理は何ですか?」という質問に「ラーメン」と答えた人は、全体の67.2%に上りました。日本人の主食である「おにぎり(48.5%)」や若い世代に需要が高い「ハンバーガー(47.7%)」よりも、ラーメンは人気が高いメニューです。
また、ラーメンは海外でも人気が高く、観光庁が2019年に行った調査によれば、外国人観光客が「最も満足した飲食」の2位にランクインしています。
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ラーメン屋の年商・年収
ラーメン屋を開業した場合、客席が10席程度の小さな店舗であっても、年商は4,000万円程度、年収は800万円程度を見込めます。
ラーメン屋では1注文あたり1杯が基本なので、ラーメン1杯の値段と1日の見込み客数によって売上が計算可能です。
仮に、ラーメン1杯の値段を900円とします。
1日の見込み客数は、飲食店ではピークタイムとそれ以外で客足が変わります。
ラーメン屋の場合、最も来客数が多くなるのは昼食時(11時~14時)と夕食時(18時~22時)です。
お客さんの滞在時間は長くても30分程度なので、昼に6回転で60名・夜に8回転で80名の客数が見込めるでしょう。
ピーク時間帯以外にも来店があるとして、1日の見込み客数は150名です。
1日の売上は、900円×150人=13.5万円であることがわかりました。
なお、定休日を週1とし、お盆や年末年始に休暇を取るとした場合、ラーメン屋の営業日は年間約300日です。
したがって、ラーメン屋の1年間の売上(年商)は、13.5万円×300日=4,050万円です。
ラーメン屋の利益率は20%程度なので、オーナーの年収は、4,050万円×20%=810万円となります。
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ラーメン屋の経費
材料費
飲食店で利益を上げるには材料費を価格の30%以内に抑える必要があり、ラーメン屋も例外ではありません。
ラーメン1杯の価格が1000円なら、材料費の上限は300円となります。
まずラーメンになくてはならない麺ですが、製麺にかかる労力や人件費等の都合で、ラーメン屋の多くが製麺所で仕入れています。その場合、麺の材料費は1玉50円前後です。
次にトッピングですが、定番のチャーシューは業務用だと1kg1500円、メンマは1㎏1200円前後が相場です。
チャーシュー1枚30g程度を2枚、メンマ1本10g程度を4本使う場合、合計で約110円となります。
その他ネギや海苔など、基本となる任意のトッピングをすべて合計しても150円以内(材料費の50%以下)に収めることが望ましいです。
儲かるラーメン屋になるには、材料費としてかけられる残りの100円(材料費の33%)で、お客さんに「また食べたい」と思わせるようなスープが作れるかどうか、という点が焦点になります。
水道光熱費
株式会社シンクロ・フードが2018年に実施した調査によると、飲食店の6割超は、水道光熱費を売上の5%以下に抑えていました。
月間の売上が約400万円のラーメン屋であれば、月間の水道光熱費は20万円以内に収めることが理想です。
しかしながらラーメン屋の場合、調理法の関係でガス代がかさみがちです。
業務用のガスコンロは家庭用の3倍以上の火力があり、1時間当たりのガス使用量は0.75㎥となります。
2023年6月時点での東京ガスのガス料金は1㎥あたり140円〜160円前後なので、3台のガスコンロを常時使用するようなラーメン屋では、1か月のガス代が0.75㎥×3台×12時間×25日=約10万円かかります。
また、ラーメン屋はオープンキッチンになっている店舗が多く、店舗が熱くなりがちなので冷房代も考慮しなければなりません。
よって、ラーメン屋の水道光熱費は、他の飲食店より多く、売上の8〜10%程度がかかるとみておくと良いでしょう。
人件費
食券機の設置・水をセルフサービスにするなどの工夫をしても、接客・調理・後片付けまで、ラーメン屋で必要な作業をすべて一人で行うのは難しいです。
ピーク時など注文が集中した場合、オーダー間違い等のミスや、提供するサービスの質が低下するなどのおそれがあります。
よって、10席程度の小規模な店舗であっても、調理者とは別に接客に従事する店員が常時1人以上いる体制を整えなければなりません。
飲食店における人件費の目安は以下の通りです。
社員:年収360万円〜400万円前後(月間30〜35万円)
アルバイト:時給1000円以上(月間22〜26万円)
従業員を雇う場合、給料の他に、通勤手当や社会保険料、福利厚生(介護保険・労災保険・雇用保険など)の支払いが必要です。
人件費の合計は、およそ給料の1.2倍となるので、以下の金額を目安にしてください。
社員:月間42万円
アルバイト::月間31万円
社員1人とアルバイトを2人雇う場合、月間73万円の人件費がかかります。
アルバイトを雇う場合、フルタイムではなく、土日祝日やピーク時間帯のみシフトに入ってもらうなどの工夫で人件費を抑えるとよいでしょう。
家賃
一般的に、飲食店の家賃は一か月の売り上げの10%以下に抑えることが理想的だと言われています。
駅前などの繁華街にある店舗や面積が広い店舗は当然家賃も高いです。
まず最初にどのくらいの売上を目標とするのかを定め、家賃が売上の10%以内に収まるという条件で物件を探すようにしましょう。
今回のシミュレーションの場合、売上337.5万円のラーメン屋ですので、家賃は35万円くらいまでに抑えるということになります。
2023年5月現在、首都圏でラーメン屋の物件を探してみましたので、参考にしてみてください。
都内 駅(地下鉄)から徒歩3分 38.0㎡ / 11.5坪 16.5万円
埼玉 駅(JR)から徒歩1分 50.71㎡ / 15.3坪 55万円
都内 駅(地下鉄)から徒歩8分 65.45㎡ / 19.8坪 35.2万円
神奈川 駅(JR)から徒歩5分 44.75m2 / 13.54坪 40.7万円
月間の利益額と利益率
これまでの売上と経費の試算から、儲かっているラーメン屋の月間の利益額と利益率を算出しました。
売上:900円×150人×25日=337.5万円
経費:材料費+水道光熱費+人件費+家賃=235万円
利益額:102.5万円
利益率:30.3%
社員とアルバイトを1人ずつ雇用した場合でも、月間で100万円ほどの利益が見込めます。
しかしながら、ラーメン屋を実際に開業するとなると、材料費等以外の経費として、チラシやクーポンを刷る、のぼりを用意するなどの広告宣伝費や、各種消耗品代などもかかってきます。
儲かるラーメン屋として長く経営を続けるには、その他の経費を売上のおよそ10%以内に抑えるとして、全体の利益率を20%確保できるようにしましょう。
なお、利益率20%のとき、毎月の利益は67.5万円ほどです。
儲かるラーメン屋になる方法
儲かるラーメン屋になり多くの利益を生み出すには、「客単価」と「回転率」が重要なポイントになります。
客単価を上げる
ラーメンそのものの値段をあげてしまうと、せっかく獲得したリピーターが離れるおそれがあります。そこで、定番メニューの値段を上げずに客単価を上げる方法を3つ紹介します。
トッピングの種類を増やす
900円のラーメンと100円のトッピングを注文してもらえれば、客単価は1,000円に上がります。
従ってトッピングの注文を増やすことはとても大切なのですが、ここで重要なのはどうしてお客さんはトッピングをするのかという理由です。
考えられる理由の一つは「せっかくラーメンを食べるのだから贅沢をしたい」という気持ちです。その場合、値段と満足度のバランスが問題となります。
例えば、海苔は調理する必要がなく原価は20円程度ですので、100円で出せばかなり有効な利益源になります。しかし一方で、お客さんが「100円の海苔は高い」と思えば、注文は入りません。値段を下げて50円に設定して売れるのであれば、利益は下がりますが30円を確保した方が良いということになります。
もうひとつ考えられるのは「健康への気遣い」です。
もやしやほうれん草などの野菜類は調理が必要ですが、栄養バランスの悪さを考えてラーメンを食べることを躊躇してしたお客さんをお店に呼び込む効果があります。
このように、トッピングは「贅沢したい」「健康に気遣いたい」といったような、積極的な動機を刺激するかを考える必要があります。
単価の高い期間限定メニューを出す
定番メニューの値上げは、顧客心理を考えるとなかなかできません。
しかし、期間限定メニューであれば、高い価格帯の設定も可能です。例えば、鶏がらスープを使用したラーメン店が、地鶏を素材に使った期間限定メニューを200円上乗せした値段で出す、といったケースです。
上記のケースで地鶏ラーメンの売れ行きが良ければ、定番として1,100円のメニューを入れることができるため、継続的に単価をあげることにつながります。
プラス一品のセット料金を設定する
町中華ではラーメンとチャーハンのセットが人気であるように、ラーメン屋には「もう一品食べたい」というニーズが存在します。
白米をメニューに加えるだけでも客単価の向上につながるでしょう。
もし人員的な余力があれば、チャーハンやチャーシュー丼、餃子などのサイドメニューを増やすということも考えられます。
ただし、回転率を落とさないように調理方法の簡素化は不可欠です。
回転率
ラーメン屋の回転率を上げるには顧客が席についたらすぐに商品を提供できるようなオペレーションが必須です。
券売機の導入はもちろん、従業員の教育も必要になってきます。
回転率を上げることは顧客の待ち時間を短くすることになるので、顧客満足度の向上にも寄与します。
なぜ儲からないのか?
「味が良くても廃業するラーメン屋」は存在します。儲からないラーメン屋が抱える主な問題点を3つ解説します。
立地や家賃に問題がある
多くの飲食店にとって「繁華街」や「駅近」にあることが顧客獲得の条件になります。
しかし、ラーメン屋はコンセプトやターゲットによっては、必ずしもその条件はあてはまりません。出店場所を決める前に、昼食時と夕食時にはどのような人が通行するのか、徹底的に調査してください。
例えば、学校や工場などが多い場所であれば、短時間で食べることができるラーメン屋は集客が期待できます。この場合、はっきりとした味が好まれやすく、ボリュームも大切な要素となります。
飲み屋街の近くであれば、昼食客よりは飲んだ後の「しめのラーメン」ニーズの方が高いため、メニューのボリューム感は必要ありません。
また、競合店の調査も重要です。ラーメン激戦区はラーメン好きが集まるというメリットもあります。しかし、コンセプトやターゲットが一緒の人気ラーメン店があれば、そこで競争に勝つことは難しいでしょう。
飲食店が多い地区は他業態との競争にもなるため、一人客を狙ったコンセプトの近い店が多ければ競争が厳しくなります。
良い立地であったとしても、期待できる客層がラーメンの特徴に合っていなければ、出店は見合わせたほうが無難です。
食材ロスが多い
ラーメン屋には、チャーシューを食べない人、麺を残してしまう人も来店します。そこで、チャーシューなどのトッピング抜きのメニューを作ったり、麺の量を選べるといった工夫をこらしましょう。
原価率を抑えるだけでなく、メニューを増やすことで顧客満足度の向上につながります。
また、トッピングやメニューの種類を増やすことも重要ですが、売れ行きが悪いものは思い切ってメニューから外しましょう。
常連客が増えない
常連客を増やすことはラーメン屋で儲けるために一番大切なことです。
常連客が増えない原因として以下のようなものが挙げられます。
- 接客態度が悪い
- 清掃が行き届いていない
- 待つ時間が長い
- 注文間違いがあった
アンケートをとる、口コミなどの評判をリサーチするなどでお客さんが何に対して不満を持っているかを理解し、常に改善する努力をしましょう。
まとめ
儲かるラーメン屋になるには、経費を抑えること、客単価と回転率を上げることが重要です。
「ラーメン1杯でいくら儲かるか?」を把握した上で、収支計画を立てましょう。
シミュレーションによると、儲かる基準である利益率20~30%を出すには、1日150杯程度のラーメンを売る必要があります。
なお、飲食店未経験者や、儲かるノウハウを手っ取り早く知りたいと考える人には、フランチャイズに加盟してラーメン屋を開業するというのも一つの方法です。
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