コロナ禍で特に影響を受けた業態のひとつに、繁華街の居酒屋が挙げられます。
ここ最近は飲みの需要が戻りつつあれど、「7割経済」という言葉が一般化しているように、コロナ禍以前の状態に戻ったとは言い難く、中食を導入した店舗も増加。
その一方で、オペレーションの煩雑化や売上形成に対する不安から導入に踏み出せずにいる飲食店オーナーも多いという現状も。
今回は、そんな飲食店オーナーの方々の不安を和らげるため、導入店舗数300店を超えるバーチャルレストラン「X Kitchen」代表の山路健一郎氏と、今年の8月から「X Kitchen」を導入した歌舞伎町「肉バルダイニング.me」のオーナー・本城敦氏、店長の大木啓也氏の3人にインタビュー。
運営と導入店舗、両者の目線からデリバリー業態導入の決め手、活用方法について語っていただきます!
コロナ禍による店内飲食の激減。補填を考え、デリバリーの導入を検討
編集者
では、まずは本城さんに質問です。「X Kitchen」を導入するまでの経緯を伺えますか?
本城
さん私たちは、コロナ禍以前はこの新宿歌舞伎町界隈で複数の居酒屋を運営していましたが、年々歌舞伎町に来る客層も変化し、集客が難しい状況が続いていました。 そこへ、2020年のコロナ禍です。しばらくは複数店舗を続けていましたが、やはり楽ではない。 もともと、私たちは飲食だけじゃなくて、カラオケやパーティースペースといったエンタメ業態との複合店舗をやりたくて飲食業を始めたところもあって、「だったら店舗をまとめて一つに注力した方がいい」と、既存の居酒屋業態は全てたたみ、現在の場所でビルを1棟借りました。 そして、居酒屋とカラオケの複合営業スタイルの店舗「肉バルダイニング.me」を開業。これが2021年10月の話ですね。 始めてみると、金曜や土曜の集客は悪くない反面、平日の集客が良くない。この部分を補填しようと考えて、デリバリー業態の導入を考えました。 当時、Uber Earsが躍進していたし、立地を考えてもデリバリーに向いている。ただ、問題があるとすれば私たちにノウハウがない。これが一番の不安要素でした。 実際、周囲の店舗も、場所がいいのにデリバリーをやっていない。知人の経営者に聞いてみたら、私たちと同じく「やり方がわからないから、始めない」と答える人たちばかりでした。
編集者
特に居酒屋業態はやることが多いですしね。
本城
さんメニューひとつ、オペレーションひとつ増えるだけでも大騒ぎなので。 「やることが増える」、「それに見合った売上が上がるかわからない」。こうした不安を抱えてデリバリー業態導入に踏み出せない飲食店オーナーは多いのだろうな、と感じました。 そんな中、知人の紹介で飲食フランチャイズの説明会に足を運んだとき、参加している企業のひとつに「X Kitchen」があったんです。 説明を聞いていて「あ、これはいいな」と思ったのがデリバリーメニューを店舗のイートインメニューに転用することもできるところ。 こうすれば、デリバリー用に仕入れた食材も店舗で消費することができて、結果的に原価や食材のロスを抑えることにつながる。 加えて、初期費用も手頃でした。加盟を決めたのは、そういった理由からですね。
デリバリー導入初日から売上を確保。売上補填以外の恩恵も店舗にとっての追い風に
編集者
山路さんは何をお勧めしたんですか?
山路
さんクレープ業態です。 「肉バルダイニング.me」のある歌舞伎町には、クレープの実店舗が多少ある程度で、デリバリーでのクレープの競合店がないんです。 客層も比較的若い人が多い。それに加えて、使う食材が少なくて調理工程も軽い。「居酒屋+カラオケ」という業態を考えても、相性が良いだろうと考えました。
編集者
なるほど、立地と客層、業態を加味して導入を勧めたわけですね。 実際に店舗業務で携わったのは店長の大木さんだと思いますが、現場の肌感はいかがでしたか?
大木
さんオペレーションへの導入が非常にスムーズでした。わかりやすいマニュアルや動画がいただけるし、実際に調理行程も簡単だし、スタッフが覚えるのもあっという間でしたね。 実際に稼働を始めたのは8月頃で、初日の売上は5万円。予想よりも高かったし、スタッフの人件費はペイできた。上々の滑り出しだったと思っています。 深夜の23時以降が一番売上が高くなったのは想定外でしたけれど、仕込みの時間もわずかながら売上を確保できるようになったし、イートインとデリバリーのピークタイムもかぶらないし、偶然にも時間帯による棲み分けがうまくできた形になりました。
山路
さんやはり、飲食店の現場はやることが多い。デリバリーで売上が上がっても、煩雑になってスタッフの増員が必要になっては意味がありません。 導入前と同じ労力でオペレーションを回せる手軽さと、誰が作っても同じクオリティを保つことができる再現性。この部分は特に意識をして商品開発を行っています。
編集者
では、最後に本城さん。デリバリーを導入して良かったことを教えていただけますか?
本城
さん当初の目的であった売上の補填という部分が埋められたのはもちろんですが、副産物的に店舗の運営が楽になる要素がたくさんあったことですね。 「X Kitchen」で言えば、プラットフォームのアカウントを作ってくれたり、そのためのとてもきれいな宣材写真を撮ってくれたりもする。何かあったときの問い合わせへのレスポンスも非常に早く、新しい業態ができたときは、お試し期間付きで提案をしてくれたりもする。 実はこういう作業って、従来は店舗側が自分たちでやっていた「メニュー表制作」や「新メニュー開発」に当たるんですよね。 そういったこともやっていただきながら、ロイヤリティは売上に対する10%と考えれば、とてもコストパフォーマンスが高いと思います。
山路
さん私たちも、加盟店様が売上を最大化できる商品や仕組みを作るために、コミュニケーションは欠かさないようにしています。店舗様の声が、もっともリアルで役立つ情報になるからです。 だから、新しい業態やメニューができたら実際に導入していただいてフィードバックをいただいたり、逆に私たちが蓄積してきたノウハウが役に立ったりするようでしたら、どんどん共有していくようにしています。 加盟店様と二人三脚で頑張っていこうという考えですね。
本城
さん現在、「肉バルダイニング.me」はデリバリー6業態で月商130万円ほどの売上が出ていますが、これを10業態ほどに増やし、月商200万円ほどに底上げ。 同時進行で、デリバリーとイートイン、テイクアウトのメニューを完全にリンクさせることで、オペレーションの簡素化と原価、食材ロスの軽減を行い、より利益が出る仕組みを作ろうと思っています。 デリバリーの導入を迷っている経営者の方には、そうした売上補填以外のメリットにも目を向けて、導入後の自店舗の姿をイメージしてみると、ハードルが低くなるかもしれませんね。
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