飲食店をはじめとする無断キャンセル被害は後を絶ちません。
被害に遭った店舗は訴訟を起こして損害賠償請求することも可能です。
しかし実際は、訴訟の費用や時間の捻出といった店舗側のリスクが大きいため、泣き寝入りしているケースがほとんどです。
無断キャンセルによる損失を回避するには、事前の対策が欠かせません。
そこでこの記事では無断キャンセルによる被害を最小限にするための対策と、無断キャンセルへの対策システムを紹介します。
いずれも忙しい飲食店でも導入しやすいシステムです。
またこれから飲食店開業を検討している人にとっても、開店準備の一つとして導入をご検討いただきたい内容です。
無断キャンセルの被害額は年間約2,000億円
無断キャンセルによる被害総額は年間およそ2,000億円にものぼることが、2018年に経済産業省が発表した「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」からわかっています。
前日及び前々日の予約キャンセルを加えると、無断キャンセルの発生率はおよそ6%、被害額はおよそ1.6兆円にも達します。
無断キャンセル問題は大きな経済的損失をもたらすことから、国も問題視する社会問題の一つです。
無断キャンセルが増える時期
無断キャンセルが特に増える時期はなく、毎月一定数の無断キャンセルが発生していることが、株式会社TableCheckのデータからわかっています。
画像引用元:https://www.tablecheck.com/ja/company/press/no-show-survey-2017/
飲食店が繁忙期を迎える12月も無断キャンセルの件数自体が増えているわけではないので、全体の予約件数に占める無断キャンセルの割合は、むしろ他の月より低くなります。
しかし無断キャンセルによる損失が低減するわけではありません。
無断キャンセルされれば、売上がないにもかかわらず、用意した料理はロスになります。
キャンセルであることが事前にわかっていれば、他の顧客を通すことで売上を出すことが可能です。
しかし事前連絡がなければ席を確保して待つため、機会損失は計り知れません。
また売上が落ちる閑散期の無断キャンセルであれば、損失はより大きくなります。
無断キャンセルはなぜ発生するのか
無断キャンセルが発生する理由を調査した株式会社TableCheckのデータによると、上位5つの理由は次の通りでした。
- とりあえず店を確保した
- 人気店なのでひとまず予約した
- 予約したことを忘れていた
- 予定が変更になった
- 天候が悪かった
画像引用元:https://www.tablecheck.com/ja/company/press/no-show-survey-2017/
気軽に予約し、都合が悪くなったが連絡せずそのまま放置したというような顧客側の事情が伺えます。
ではなぜこれらの顧客は、どのようなルートで予約しているのでしょうか。
同調査から、無断キャンセルした際に利用していたのはグルメ予約サイトが半数であることも分かっています。
画像引用元:https://www.tablecheck.com/ja/company/press/no-show-survey-2017/
画像引用元:https://www.tablecheck.com/ja/company/press/no-show-survey-2017/
飲食店の予約で頻繁に使用しているグルメ予約サイトで無断キャンセルしている人が多いという結果から、悪意はないものの、キャンセル連絡をしないことに対する思慮がない可能性が高いことも浮き彫りになりました。
これは気軽に予約できるグルメ予約サイトの利便性が裏目に出ており、それが無断キャンセルの増加につながっているといえます。
もちろんグルメ予約サイトを利用して、予約日時に来店する顧客が大多数ですから、グルメ予約サイトは飲食店にとって力強いサポーターです。
しかし予約のハードルが低くなっている分、キャンセル手続きに対する意識の啓蒙や、無断キャンセル対策を取ることが必須です。
無断キャンセルの予防と対策5選
無断キャンセルを未然に防ぐ方法には、次の5つがあります。
- 事前決済システム
- キャンセルポリシーの厳格化と明示
- 予約のリマインド
- キャンセルしやすいシステム
- 無断キャンセル保証や回収代行サービスの利用
事前決済システム
予約した段階であらかじめ予約料金を決済する事前決済システムを導入すれば、無断キャンセルが発生しにくくなります。
万が一無断キャンセルが発生してもあらかじめ予約料金を決済しているので、店舗の損失も最小限に止めることが可能です。
キャンセルポリシーの明示と厳格化
予約受付する際にキャンセルポリシーやキャンセル料、無断キャンセルした際のペナルティをアナウンスしましょう。
悪気なく軽い気持ちで無断キャンセルしている顧客も少なくありません。
無断キャンセルすれば顧客にもペナルティが課されるルールを策定し、あらかじめ伝えることで、顧客のキャンセルに対する意識を喚起できます。
無断キャンセルが増加している昨今、無断キャンセル発生時にルールを厳格化することは、飲食店を守るためにも欠かせません。
予約のリマインド
顧客が予約していたことを忘れないよう、予約の数日前もしくは前日にリマインドメールを送信するのも有効です。
ただしメールでは迷惑メールに分類されたり、顧客側のサーバーの設定で受信されないこともあります。
電話番号と紐づいたSMSやLINEを活用することもご検討ください。
キャンセルしやすいシステム
顧客側からキャンセル手続きしやすい仕組みを作ることも大切です。
予定の変更があってキャンセルの必要があるとわかっていても放置し、無断キャンセルしてしまう。この流れを断ち切るための仕組みです。
ただし電話でキャンセルを受け付けた場合、店舗の営業時間内でしか対応できず、顧客の利便性が高いとはいえません。
メールや予約システムからもキャンセル連絡できるようにすることで、顧客のタイミングでキャンセル連絡できるようになり、無断キャンセルを減らすことができます。
無断キャンセル保証や回収代行サービスの利用
無断キャンセル保証やキャンセル料金の回収代行サービスを使えば、忙しい飲食店でも自分で取立てする手間なく、無断キャンセルによる損失を最小化できます。
保証料や手数料といった経費は必要ですが、無断キャンセルによる損失を回避することが可能です。
また無断キャンセルに対する断固とした対応を取れば、同じ顧客による悪質な無断キャンセルを繰り返されることに対する抑止力にもなります。
おすすめ!無断キャンセル対策サービス
無断キャンセルを未然に防ぐために有効なサービスを3つ、紹介します。
TableCheck
画像引用元:https://www.tablecheck.com/ja/join/
TableCheckでは、予約受付時にクレジットカード情報を取得することで無断キャンセル時には自動的にキャンセル料を請求できるサービス、キャンセルプロテクションを導入しています。
またキャンセルプロテクションなら、予約の段階でクレジットカード情報を預かる与信型や、事前決済まで済ませる事前決済型のいずれかの選択が可能です。
自店のキャンセルポリシーに合わせた無断キャンセル対策を講じることができます。
TORETA
TORETAでは、無断キャンセル対策に特化したアプリ、トレテルをリリースしています。
トレテルでは予約受付を完了させる前に、SMSで顧客に予約情報とキャンセルポリシーを送信します。 顧客は予約内容とキャンセルポリシーを確認のうえ、予約確定の手続きに進む仕組みです。
予約確定の前に内容確認のステップを挟むことで、予約内容の入力の誤りや、キャンセルポリシーを読まずに予約していたといった事態を未然に防ぎます。
ぐるなび
グルメ予約サイトを運営するぐるなびでは、加盟店がぐるなびサイト経由で受けた予約において無断キャンセルの被害を受けた場合、回収できなかったキャンセル料を補償するサービスを提供しています。
キャンセル料の上限は一人あたり4,000円。ぐるなびのベーシックプランに加入していれば自動的にサービス対象になります。
キャンセル料金の設定をシステムで行う手間はあるものの、無断キャンセルによる損失を回避できるのはメリットです。
まとめ
無断キャンセル問題は、今や社会問題の一つです。飲食店を運営するにあたって、無断キャンセル対策は欠かせません。
無断キャンセルが発生してからでは、キャンセル料の回収は困難を極めます。
予約時点で、無断キャンセルが発生した際の対策を講じることが大切です。
すでに飲食店を営んでいる方はもちろんのこと、これから開業する方は、開業準備の一環として無断キャンセル対策も行う必要があります。
しかし無断キャンセルに備えた対策には、個人情報の取得やクレジットカード情報の取得、事前決済といった、込み入った手続きが伴います。
無断キャンセルを予防する各種サービスを活用して店舗の負担を軽減しながら、無断キャンセルによる損失を最小化してください。