パンは日本人の主食としてニーズが高く、日常的に食べられているものです。
また、パン作りの趣味が高じてパン屋を開業する人は少なくありません。
一方で、パン屋をビジネスとして考えると、個人店やチェーン店、ファーストフード、コンビニ、スーパーなど競合が多く、設備投資に費用がかかるため、決して一筋縄では行きません。
この記事では、パン屋を開業するために必要な資金や開業の流れ、注意点を解説・成功するパン屋になる方法などを解説しています。
パンが好きで将来はパン屋を開業したいと考えている方は参考にしてください。
パン屋の開業に必要な資金
パン屋を開業するには、最低でも数百万円の資金が必要であり、出店場所や店舗の規模によっては1,000万円以上かかります。
なお、開業資金の大半を占めるのは店舗物件の取得費と内外装の工事費です。
そのため、カフェスペースのない小規模な店舗や、自宅を改装してパン屋を開業する場合は、開業資金を低く抑えることも可能です。
なお、パン屋の開業にあたっては、他にもオーブンやミキサー、冷蔵庫、冷凍庫といった厨房設備の調達が必要です。
パン屋開業のメリット
パン屋は飲食店の独立開業を目指す方の中でも人気の業種ですが、主に以下の2つの大きなメリットがあります。
パンはニーズの高い商品である
1日の中で1回はパンを食べるという人は意外と多いのではないでしょうか。
パンは朝食としても昼食や軽食としても食べられるなど、ニーズの高い商品です。昨今では食感や材料などにこだわった高級志向の食パンが人気を集めるなど、価格にかかわらず人気を集めています。
顧客のニーズに応じたパンを提供できれば、売上アップも期待できるでしょう。
自分の希望を反映した店舗運営ができる
自分の希望を反映した店舗が作れる
個人でパン屋を開業する場合、自分の好みやこだわりを反映したパン屋にすることができます。
例えば提供するパンの種類やパンに使用する素材、店内の雰囲気など全て自分で決めることが可能です。
また、他店との差別化を測るために、イートインを設置する、カフェを併設するといったこともできるでしょう。
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パン屋開業のデメリット
パン屋の開業にはメリットの一方でデメリットも少なからず存在します。
ここでは具体的にどのようなデメリットがあるのか解説します。メリット・デメリットの双方を理解した上でパン屋の開業を検討してください。
競合が多い
パン屋は個人店の他にもカフェやファーストフード店などがライバルとなります。
また、昨今ではコンビニでも焼きたてのパンが販売されているなど、競合が多い点に注意しなければなりません。
パンのニーズがいくら高いとはいっても、競合が多いために需要を獲得できない恐れがあるでしょう。
技術習得までに時間がかかる
パン屋の開業を目指す場合、パン作りの技術を身につける必要がありますが、技術習得に時間がかかる点にも注意しなければなりません。
パン屋自体は専門的な資格がなくても開業はできますが、実際に売り物として販売するレベルになるには時間がかかると考えておいた方がいいでしょう。
技術を身につけたとしても、ようやくスタートラインに立っただけであり、そこから競合と勝負することとなります。
パン屋を開業するまでの流れ
ここでは、実際にパン屋を開業するまでの流れを解説します。
製パン技術の習得
パン屋の開業にあたっては、まず製パン技術を身につけなければなりません。
製パンは他の人が行うといった場合は問題ありませんが、自分のこだわりのパンを作りたいといった場合は美味しいパンを作れるようにしておきましょう。
技術の習得方法としては、独学によるものや専門学校で学ぶ方法、パン屋で修行を積む方法などがあります。
パンは温度や湿度によって味が変わるため、作り方をしっかりと身につけることがパン屋成功への第一歩となります。
お店のコンセプト決め
どのようなパン屋にするのか、お店のコンセプトを決めも大切です。
同じパン屋でもコンセプトによってお店の雰囲気や客層、扱う商品は大きく異なります。例えば、全てを手作りで提供するパン屋もあれば、仕入れたパンを販売するパン屋もあります。
また、高級志向のパン屋や菓子パンを主力商品として提供するパン屋などコンセプトはさまざまです。
コンセプトはその後の店舗探しやメニュー決め、ターゲット層決めなどにも関わってくるポイントであるため、入念に検討することが大切です。
物件探し
コンセプトが決まったら実際に店舗となる物件を探します。
物件探しにあたってはコンセプトに加えて資金を考慮することがポイントです。いくら魅力的な物件でも資金がなければ取得はできません。
自分が用意できる金額に加えて、金融機関からどのくらいの金額を融資してもらえそうなのか考慮して物件を絞って行きましょう。
物件のあるエリアによって客層が異なるため、ターゲット層に応じたエリアを見極めることも大切です。
資格・許可の取得
パン屋の開業にあたっては、いくつかの資格や許可を取得しなければならないため、準備を進めましょう。
まず必要となるのが営業許可です。これは飲食提供する店舗を開業する場合に必要となる許可証のことです。
また、食品衛生責任者の資格も取得しなければなりません。これは店舗の衛生管理を目的としている資格で、店舗に設置することが法律で定められています。
そのほかにも、食パンや菓子パンの製造を行う際には菓子製造許可が必要です。
求人を出す
パン屋によってはオーナーとその家族のみで経営しているケースもありますが、パン屋の規模によっては従業員を雇う必要があるでしょう。
求人を出す場合、求人サイトの利用ができるほか、店頭に求人の張り紙を貼る方法、知人からの紹介などがあります。
従業員を雇用することで人件費がかかるため、雇用するかどうかは迷うポイントとなるでしょう。
しかし、手作りのパンを提供しているお店で、パンの製造ができるのが自分だけといった場合、自分の負担を軽減しパン作りに集中するためにも従業員は雇用すべきといえます。
パン屋の開業で成功するための注意点
パン屋を開業する際にはいくつかの点を検討しておきましょう。ここでは具体的な検討ポイントを紹介します。細かい部分ですが、お店の売り上げにもつながる部分であるためチェックしておきましょう。
営業時間を検討する
立地によって人が多く集まる時間帯が異なるため、営業時間を検討しましょう。
例えば駅前やオフィス街などは、朝出勤・通学する人が朝食としてパンを購入すると考えられるため、早朝から営業したほうがいいでしょう。
学生やビジネスマンをターゲットにする場合、学校・会社がない週末はパン屋も休業日にできるため、休みを確保しやすいというメリットもあります。
郊外に開業する場合、主婦層が利用しやすい昼間の時間帯をメインとすることをおすすめします。
このように、出店エリアによって営業するべき時間帯が異なるため、開業する場所はどのような人が住んでいる・出入りしているのか事前に調べたうえで時間を検討してください。
宣伝方法を検討する
自分のお店を認知してもらい、実際に商品を購入してもらうためには、効果的な宣伝を行う必要があります。宣伝方法にはチラシやSNSなどさまざまなものがあります。
店頭やスーパーなどの掲示板などにチラシを貼っておくだけでも多くの人の目に止まるでしょう。
また、SNSで写真と一緒にどういったパンを取り扱っているのかといった情報を提供することもできます。そのほかにもGoogleビジネスプロフィールの利用も効果的です。
これは、Googleマップ上に店舗情報を掲載できるサービスです。口コミや写真なども投稿されるため、利用者の声を知りたいユーザーにとって便利なサービスだといえます。
店舗側はポジティブな口コミや積極的な写真投稿を促せるように質の高いサービスを提供することが大切です。
商品価格のバランスをとる
パンによっては100円台で気軽に購入できるものもありますが、全ての商品を低価格で販売すると利益が出せません。そのため、商品価格のバランスを取ることも大切です。
例えば、基本は低価格の商品を提供しつつ、食パンやフランスパンなどは使用する素材にもこだわり高価格帯に設定するといったことができるでしょう。
また、季節の食材を使った商品を少し高い単価で販売するのも1つの方法です。
パン屋の開業形態
パン屋の開業形態は大きく分けて個人とフランチャイズがあります。
個人で開業する場合、コンセプト決めや物件探し、メニュー開発など、開業の準備から店舗運営まで全て自分で行うこととなります。
やるべきことが多くなるため、負担は小さくありませんが、自分のこだわりをとことん反映できる点がメリットです。
例えば、高級住宅街で高級志向のパン屋を開業するといったこともできます。経営やマーケティングのスキルも必要となるため、時間や労力がかかる方法だといえます。
もう1つの方法がフランチャイズによるものです。フランチャイズは、企業に対してロイヤリティを支払うことで、ブランド名や看板を使う権利を得てパン屋を運営するというものです。
例えば企業が「A」というパン屋を全国に展開している場合、ロイヤリティなどを支払いフランチャイズ契約を結ぶことで、自分も「A」の看板を掲げたパン屋を開業することができます。
フランチャイズのメリットは、サポート面が充実している点です。
経営ノウハウの共有や資金サポート、物件探しのサポートなどが受けられるため、経営の経験がない人でも比較的安心して開業できるでしょう。
ただし、毎月ロイヤリティを支払わなければならないほか、個人開業と比べると自由度は低くなるため注意してください。
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パンの販売方法
パンを販売する方法はさまざまです。最も一般的なのは店舗で販売することですが、昨今ではデリバリーでの販売やキッチンカーでの販売も増えています。
店舗を持ちつつデリバリーで販売するなど、販売経路を増やすことができれば、売上アップにつなげることができるでしょう。
また、自宅で開業したり、厨房や販売スペースを借りて開業したり、フランチャイズを利用して開業したりなど開業方法の選択肢も多いので、理想や予算、現状に合ったパン屋の開業を見つけやすい
まとめ
今回は、パン屋を開業するメリット・デメリットや開業までの具体的なステップ、開業にあたって検討するべきことなどについて解説しました。
パンは多くの人が頻繁に食べるものであるため、高いニーズがあります。
また、個人での開業であれば、自分の理想を追求したパン屋の開業も可能です。
一方で、初期費用が高いことや製パン技術の習得が必要なことなど、注意するべき点もあります。
これから脱サラしてパン屋を開業しようとしている人は、まず製パン技術の習得やコンセプトの検討などからはじめてみてください。
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