「朝ごはんはやっぱりパンがいい」
「今日は軽めにパンが食べたい」
毎日の食事の選択肢として、需要が高いパン食。
昨今「高級食パンブーム」があったことからも、パンの不動の人気がうかがえますよね。
一般的に、食品製造業の中でも原価が低く利益率が高いので、パン屋は「儲かる業種」のひとつです。
しかし、パン屋はチェーン店も個人店も多く、非常に競争率が高い業種であることも事実。
そこでこの記事では、これからパン屋の開業を考えている人に向けて、パン屋で設けるコツを紹介します。
パン屋は儲かるのか
結論から言うと、パン屋は儲かる業種です。
小売業の中でも利益率が高く、日本人の主食として需要が高いからです。
それでは、パン屋が儲かる理由について、パンの利益率と市場の動向という観点から、詳しく説明していきます。
パンの利益率
パン屋は他業種と比較して利益率が高いので、儲かると言われています。
利益率は売上に対する利益の割合であり、事業計画や目指すべき業績を考える際に重要な指針です。
そのため、同じ飲食店を開業するとしても、利益率の高いパン屋は銀行の融資を受けやすいというメリットがあります。
それでは、パン屋は他業種と比較してどれくらい利益率が高く、儲かると言えるのでしょうか?
以下の表は、パン屋と小売業の平均の利益率を比較したものです。
経営資本対営業利益率 | |
---|---|
菓子・パン小売業平均 | 13.2% |
小売業総平均 | 8.6% |
売上高対営業利益率 | |
---|---|
菓子・パン小売業平均 | 7.4% |
小売業総平均 | 4.3% |
売上高対総利益率 | |
---|---|
菓子・パン小売業平均 | 56.0% |
小売業総平均 | 39.0% |
参照元:中小企業の経営指標(中小企業庁)
URL:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/keiei_sihyou/h11/07_d.html
経営資本対営業利益率とは、会社の本業の収益性を表す指標です。
一般的な水準は6~10%程度なので、パン屋は3.2~7.2%ほど収益性が高いといえます。
売上高対営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合を示す指標です。
経営効率を表す数値でもあり、主要産業における平均値は3.2%です。
平均値より高い小売業の中でも、パン屋は効率よく稼げる業種と言えます。
売上高対総利益率とは、売上高から原価を差し引いた総利益(粗利益)が占める割合を表したものです。
数値が高いほど収益性や採算性が良いと判断できます。
全業種の中央値は26.9%です。
平均値の2倍以上の数値のパン屋は、採算が取りやすく儲かりやすい業種ともいえるでしょう。
パンの市場の動向
食の欧米化が進んだ現代において、パンは日本人の主食の一つ。
「調理せずに食べられる」という手軽さから、老若男女に広く受け入れられており、需要が高い商品です。
また、シンプルな食パンだけでなく、菓子パンや総菜パンなど、味のバリエーションが豊富なこともパン食の需要を高める要因としてあります。
総務省統計局の家計調査によると、2010年から2012年の間に、「お米よりパン」という選択をする人が増加しました。
データ参照元:家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(総務省統計局)
URL:https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html
忙しい現代人に欠かせない主食であるパンは、今後も需要が増加することが予想されます。
パン屋の開業が厳しいと言われる理由
パン屋は利益率が高く、主食としての需要があるので稼げる業種です。
ところが、パン屋の経営は容易ではありません。
帝国データバンクの調査によれば、パン屋の廃業件数は年々増加しています。
画像引用元:パン製造小売業者の倒産動向調査(2019 年)(帝国データバンク)
パン屋の経営の継続が困難になる原因は、主に以下の4つです。
- 開業資金が高い
- 競合が多い
- 経営スキルが不足している
- 原材料費が高騰している
それでは、それぞれ説明していきます。
開業資金が高い
パン屋を開業するには、設備費用だけでも300万円~1,000万円ほどの資金が必要です。
業務用のオーブンや発酵機、食材を保管しておく冷蔵庫や冷凍庫などの大型の設備が必須だからです。
開業資金を抑えるためには、居抜き物件を活用するほか、設備や備品をリースする、といった工夫が必要です。
また、飲食店を経営している方は、既存の設備を利用し、フランチャイズに加盟してパンを取り扱うという方法もあります。
パン屋でおすすめのフランチャイズ
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フランチャイズ
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競合が多い
パンは日本人の主食であり、季節に関係なく一年中安定した需要があります。
しかし、その分パンを取り扱うパン屋も多いため、パン屋は競合が多い業種です。
個人経営のパン屋だけでなく、大手のスーパーやコンビニエンスストアが、オリジナルブランドの安価なパンを打ち出すなど、しのぎを削りあうパン業界。
個人経営のパン屋の場合、知名度や立地、価格競争の面において、企業に勝つのは難しいところがあります。また、味や独自性で勝負しようとしても、同じ個人経営のパン屋がライバルとなります。
経営スキルが不足している
パン屋を開業し、儲けるにあたって必要なスキルは2種類です。
- パンを作るスキル
- パン屋を経営するスキル
パンを作るスキルだけあっても、競合が多い業界で稼いでいくことはできません。
数字を読み解く力や将来設計する能力、取引先との付き合いといった対人スキルも求められます。
「パンを作ることはできるが経営スキルには不安がある」といった場合は、経営面でサポートを受けられるフランチャイズのような仕組みを活用することを検討するのも一つの方法です。
食材の高騰
不安定な社会情勢を受けて、輸入食材の価格が高騰しています。
パンの主要な原材料である小麦粉も価格が高騰している食材の一つです。
原材料の価格が高騰すれば原価率が上がり、その分利益率は下がります。
画像引用元:輸入物物価指数(小麦)(日本銀行)
こういった輸入食材を取り巻く不安定な情勢に対する対策としては、次のようなものが考えられます。
- 国産の原材料を使用
- 小麦粉の代わりに米粉を使う
- 高級食パンのようにパンの価格を高くする
これからパン屋で開業するのであれば、原価への不安を払拭するため、また儲かるパン屋を育てていく意味で、パンの単価を高く設定しても売れる方法を模索する必要があります。
パン屋を開業するまでの手順
実際にパン屋を開業するまでの大まかな流れを、時系列で示すと次のようになります。
- パンを作る技術の取得
- 開業資金の用意
- 店舗のコンセプトやメニューを考案
- 仕入れ先の選定
- 物件探し
- 店舗の場所や店舗のレイアウトを決定
- 設備の購入・リース
- 保健所で営業許可取得
- 宣伝告知
- プレオープン
- 開業
パン職人と経営者を兼任しながら、かつ営業や接客もこなすイメージです。
パン屋の開業に必要な資格・届出
パン屋を開業するために、必ず必要な資格・届出は次の3つです。
- 開業届
- 食品衛生責任者
- 菓子製造業の営業許可証
資格 | 申請先 |
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開業届 | 税務署 |
食品衛生責任者 | 保健所 |
菓子製造業の営業許可 | 保健所 |
資格 | 取得・届出方法 |
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開業届 | 税務署で申請(郵送やネットでも可) |
食品衛生責任者 | 食品衛生責任者養成講習会を受講(会場もしくはイーラーニングで受講) |
菓子製造業の営業許可 | 保健所へ事前協議の上で書類を提出、現地調査を受ける |
資格 | 取得費用(税込) |
---|---|
開業届 | 無料 |
食品衛生責任者 | 12,000円 |
菓子製造業の営業許可 | 16,800円 |
営業許可証の取得費用は東京都新宿区の場合
パンを販売する場合は、菓子製造業の営業許可が必要です。
イートインがある場合
店内にイートインコーナーを併設したパン屋の場合、飲食店の営業許可が別途必要です。
ただし食品衛生法の改正に伴って、イートインコーナーを設置しているものの、パン以外のメニューを提供しない場合は、菓子製造業の営業許可だけで営業できます。その際は、飲食店の営業許可は不要です。
例えば、店内で製造したパンを喫食するイートインコーナーをパン屋に併設する場合、菓子製造業の営業許可営業ができます。
しかしパン以外にサラダやスープを提供する、といった場合は、飲食店の営業許可が必要です。
資格 | 申請先 |
---|---|
飲食店の営業許可 (東京都新宿区の場合) | 保健所 |
資格 | 取得・届出方法 |
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飲食店の営業許可 (東京都新宿区の場合) | 保健所へ事前協議の上で書類を提出、現地調査を受ける |
資格 | 取得費用(税込) |
---|---|
飲食店の営業許可 (東京都新宿区の場合) | 18,300円 |
他の業者が製造した商品を販売する場合
他の業者で調理した商品を販売する場合は、菓子製造業の営業許可に加えて食料品等販売業の営業許可が必要です。
資格 | 申請先 |
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食料品等販売業の営業許可 (東京都多摩地区の場合) | 保健所 |
資格 | 取得・届出方法 |
---|---|
食料品等販売業の営業許可 (東京都多摩地区の場合) | 保健所へ事前協議の上で書類を提出、現地調査を受ける |
資格 | 取得費用(税込) |
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食料品等販売業の営業許可 (東京都多摩地区の場合) | 13,200円 |
店舗が広い場合に必要な資格
30人以上の人を収容できる大きなパン屋の場合は、防火管理者資格が必要です。
資格 | 申請先 |
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防火管理者資格 (東京消防庁の場合) | 消防署 |
資格 | 取得・届出方法 |
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防火管理者資格 (東京消防庁の場合) | 消防署で講習を受ける |
資格 | 取得費用(税込) |
---|---|
防火管理者資格 (東京消防庁の場合) | 1,700円〜5,500円程度 |
防火管理者資格には甲種と乙種があり、店舗規模によって受講する講座が異なります。
詳しくは最寄りの消防署にご確認ください。
パン屋を開業して成功するコツ
競合ひしめく中でも成功しているパン屋が必ず押さえているコツがあります。
- SNSを活用したブランディング
- 適切な商品開発
- 原価率のコントロール
- 運転資金を用意
SNSを活用したブランディング
ライバルの多いパン屋の場合、知名度を上げることが必須です。
SNSを活用して他のパン屋にはない自店の魅力を余すところなくアピールしてください。
適切な商品開発
顧客層によって売れるパンの種類は異なります。
出店前に市場調査を綿密に行い、自店の強みを活かしたパンの需要が高いと考えられるエリアに開店し、商品を展開することが大切です。
例えばファミリー層の多いエリアに出店するのであれば、子供が好む種類のパンを多く展開する必要があります。
その際、手頃で毎日でも手に取りやすい価格設定を検討してください。
またオフィス街の近くに出店する場合は、手を汚さずに簡単に食べられる種類のパンを増やすことが大切です。
商品のラインナップも増やして、飽きずに何度でも足を運びたくなる仕組みを作ることも欠かせません。
原価率のコントロール
パン屋は利益を上げやすい業種ですが、廃棄ロスが大量に発生すれば原価率が上がり、利益は下がります。
来店の状況をデータ化して把握し、ロスを出さないペースでパンを製造できるようにコントロールすることは欠かせません。
運転資金を用意
パン屋を開業してから経営が軌道に乗るまでには、時間がかかります。
開業資金だけでなく、開店後の運転資金が潤沢に用意できるか否かが成功のカギです。
自己資金が少ない場合は、開業の段階で極力経費を抑えることで運転資金に充当してください。
パン屋を始めるならフランチャイズがおすすめ
パン屋で開業して成功するためには、パンを作るスキルと同様に経営スキルが欠かせません。
「経営に関しては初心者で不安を感じる」といった状況であれば、フランチャイズで開業するという選択肢もあります。
パン屋のフランチャイズとは、企業に加盟し、チェーン店としてパン屋を開業することです。
パン屋のフランチャイズのメリット
パン屋のフランチャイズを活用した場合、次のようなメリットが期待できます。
- 開業や経営のサポートが受けられる
- 知名度があるので、ブランディングが容易
- 食材管理の手間が少ない
開業や経営のサポートが受けられる
開業準備から開業後の店舗のオペレーションや経営面まで、手厚いサポートを受けられます。
フランチャイズのオーナー企業は経営のスペシャリストですから、パン屋の経営を一から学ぶことも可能です。 またフランチャイズ本部によっては、開業支援制度を設けている企業もあるため、資金面での不安を解消に繋がります。
知名度があるので、ブランディングが容易
すでに知名度のある店舗名で開業できます。
知名度があるということは社会的信用度に繋がることから、無名の店舗として開業するよりも高い集客力を発揮することが可能です。
食材管理の手間が少ない
フランチャイズの場合、仕入れ先はオーナー企業があらかじめ契約しているため、自身で開拓する必要がありません。
仕入れる食材の吟味や、価格交渉が不要なので、開業にかかる負担を削減できます。
パン屋のフランチャイズの注意点
パン屋でフランチャイズ契約する場合の注意点は、加盟金とロイヤリティが発生するという点です。
加盟金とは、フランチャイズ契約するにあたって必要な商標やロゴ、経営のノウハウを受ける対価として支払うもので、契約時に支払います。
ロイヤリティは開業後、定期的に支払うものです。
これ以外にも、設備投資には大きな初期費用がかかります。 また開店したからといってすぐに利益を出せるようになるわけではないので、開店後しばらくは利益が出ない中でやりくりする必要があります。
ロイヤリティの金額は契約前に確認し、
- 現実的に捻出可能な金額か
- 売上の見込み額
- 諸経費の支払い計画
を含めて、試算しながらご検討ください。
なおロイヤリティの体系はオーナー企業によって異なります。
ロイヤリティの体系について、フランチャイズの説明会を訪れた際や、本部の担当者と話をする際に確認することが大切です。
まとめ
パン屋を開業するためには、パン作りの技術と経営スキルが必要です。
他にも資金や市場調査、資格の申請、宣伝活動など、なすべき業務は多岐に渡ります。
一人で全てをこなすのはあまりにハードルが高く、仮にできたとしても成功するまで維持できるかを考えるとかなりの困難があることは否めません。
パン屋は開業してからが勝負です。
成功に向けた長い道のりをサポートしてくれるパートナーを得る目的で、フランチャイズを検討する価値は十分にあります。