飲食店を経営していく中でどうしても発生する食材のロス。
飲食ビジネスを成功させるには、売り上げを伸ばすだけでなく、ロス管理を徹底しておこない、食材ロスを減らさなくてはいけません。
この記事では、飲食店のロス管理について紹介していきます。
ロス管理の重要性や食材ロスが発生する原因と対策などについて解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店の経営でロス管理が重要になる理由
ロス管理に取り組む上でまず知っておいてほしいのが、「飲食店におけるロス管理の重要性について」です。
飲食店を経営したことがない方の場合、「たくさんお客さんを集客して売上をあげていれば儲かる」と考えてしまう傾向にあります。
しかし、いくら売上をあげても、売上以上にコストがかさんでしまっていては、いつまで経っても儲けることはできません。
飲食店の経営はさまざまな部分でコストが発生しますが、その中でも特に大きな割合を占めているのが食材の仕入れです。
仕入れる食材が多くなれば多くなるコストがかさみ、得られる収益も少なくなってしまうため、飲食店を経営する際はロス管理を徹底する必要があるのです。
飲食店における食材ロスの原因
ロス管理を徹底するには、食材ロスがどこで発生するのかを把握しておかなくてはいけません。
飲食店における食材ロスの主な原因としては、5つがあげられます。
- 発注段階でのロス
- 保存段階でのロス
- オーバーポーションによるロス
- 調理段階でのロス
- オーダーミスによるロス
それぞれの原因について詳しく解説していきます。
発注段階でのロス
食材ロスの原因の中でも特にもったいないのが、発注段階でのミスです。
飲食店は食材の卸業者と契約して、定期的に発注をおこないながら食材を仕入れます。
この際、発注管理を徹底するなどして対策しておけば、発注による食材ロスは発生しません。
しかし、特に管理もおこなわず、責任者の感覚に頼った発注をしてしまうと、消費期限までに使い切れずに廃棄せざるを得なくなってしまいます。
保存段階でのロス
保存段階での食材ロスも、発注段階における食材ロスと同じくらいもったいないミスです。
食材には冷凍庫で保管するべき食材もあれば、冷蔵庫で保管するべき食材もあります。
食材の種類によっては常温での保存が適している場合もあるでしょう。
しかし、食材管理がずさんになり、それぞれの食材に適さない方法で保管してしまうと、消費期限が来る前に食材が傷んでお客さんに提供できなくなってしまいます。
傷んだ食材は廃棄するしかないため、可能な限りゼロにしたい食材ロスとなります。
オーバーポーションによるロス
料理のレシピが用意されていない飲食店で発生しやすいのが、オーバーポーションによる食材ロスです。
オーバーポーションとは、本来の量よりも食材や調味料を多めに使うことで発生するタイプの食材ロスです。
例えば、本来150グラムで提供するはずのステーキを200グラムや250グラムなど多めにカットして提供してしまうと、多めに提供してしまった分がオーバーポーションになります。
オーバーポーションの回数が増えてくるとその分多めに食材を仕入れなくてはならなくなり、仕入れのコストがかさみ、店舗の収益も減ってしまいます。
調理段階でのロス
飲食店では、味付け・調理ミスや食材の崩れなどによって料理を作り直さなくてはいけなくなってしまうことがあります。
このときに発生するのが、調理段階での食材ロスです。
味付け・調理ミスや食材の崩れなどは、どれだけ気をつけていても発生するので仕方ないことですが、あまりにも多いとコストがかさむため注意しなくてはいけません。
また、新しいスタッフを指導するときなど、どうしても調理段階でのロスが多くなるタイミングがあります。
その場合は、まかないで処理するなどして、発生する食材ロスを有効活用しましょう。
オーダーミスによるロス
飲食店を経営する中で発生する食材ロスの中でも特にダメージが大きいのが、オーダーミスによる食材ロスです。
オーダーミスによる食材ロスは、お客さんが注文した商品と異なるものを提供してしまうことで発生する食材ロスですが、食材だけでなく時間と手間のロスにもつながります。
オーダーミスはお客さんの勘違いによって発生することもあるのでゼロにするのは難しいものです。
店側にとってはダメージが大きいため、スタッフのミスで発生しないようにしなくてはいけません。
飲食店で発生する食材ロスへの対策方法
ロス管理を徹底するには、食材ロスへの対策方法についてもしっかりと把握しておかなくてはいけません。
飲食店で発生する食材ロスへの主な対策方法としては、以下の6つがあげられます。
- ロスの状況を把握する
- 発注のルールを決める
- 食材の保存に関するルールを決める
- 調理をおこなう際の分量を決める
- オーダーの確認を徹底する
- 注文用のタブレットを導入する
それぞれの対策方法について詳しく解説していきます。
ロスの状況を把握する
ロス管理をスタートさせて食材のロスを解消する場合、まずは食材ロスの状況を把握しなくてはいけません。
現時点でどれくらい食材ロスが発生しているのかを把握して、それらの食材ロスによってどれくらい無駄なコストが発生しているのかをハッキリさせるところから取り組みましょう。
また、どこで食材ロスが発生しているのかについても調査して把握する必要があります。
先述のとおり、食材ロスの原因は一つだけではありません。
原因を把握しないことには対策の立てようがありませんので、食材ロスの状況の把握と並行して原因の追求もおこなうようにしましょう。
発注のルールを決める
発注の段階で食材ロスが発生してしまっているのであれば、発注のルールを決めて管理を徹底するようにしましょう。
発注段階での食材のロスは、発注のルール決めと管理の徹底でほとんど抑制できるようになるはずです。
発注の担当者が決まっていないのであれば、まずは担当者を決めるところから始めてください。
発注する人が決まっている方がルールの設定や管理をしやすくなり、発注の精度も高まります。
また、発注を繰り返していると、普段の食材の消費量やその期間の予約状況、食材の減り方などから適切な発注量を導き出せるようになるので、担当者を決めてその人に発注させるようにしましょう。
ただ、その人が急に辞めてしまったり休職してしまう可能性もゼロではないので、ルールやマニュアル作りも並行して進めるようにしてください。
食材の保存に関するルールを決める
食材を保存する段階で食材ロスが多発している店舗は、食材の保存に関するルールが決められていない傾向にあります。
「食材の適切な保存方法なんてわざわざルールを決めなくてもわかるのでは?」と思うかもしれませんが、保存段階でのロスを極力無くしたいのであればルールの設定は必ずおこなっておくべきです。
季節によって異なる食材が入ってくるケースもありますが、店舗で取り扱う食材はほとんど統一されていることが多いです。
それらの食材の保存のルールを決め、そのルールに則って保存するよう徹底しましょう。
調理をおこなう際の分量を決める
オーバーポーションによる食材ロスが多発している場合は、レシピを作成し、そのレシピ通りに調理をおこなうようにしましょう。
オーバーポーションは感覚で調理することで発生するため、感覚で調理することを辞めれば自然と発生しなくなります。
レシピを作成して調理の仕方を統一すれば、オーバーポーションによる食材ロスだけでなく味付けの失敗による食材ロスも防げるようになるので必ず用意するようにしましょう。
オーダーの確認を徹底する
食材を無駄にしてしまうだけでなく、調理にかかる手間や時間まで無駄になってしまうオーダーミスはなるべく発生させないようにしなくてはいけません。
そこで取り入れたいのが、オーダーの徹底確認です。
オーダーミスについてはどの店舗でも気をつけるようにしているかと思いますが、オーダーの確認をオペレーションに組み込んでいない店舗は意外と少なくありません。
オーダーの確認はオペレーションの手間が増える上に鬱陶しいと思うお客さんもいるため控えたくなるのもわかりますが、オーダーミスを無くしたいのであれば徹底するべきです。
注文を受け終わった後で、「それでは注文の内容を繰り返します」というようにオーダーを確認してから注文を通すようにしましょう。
注文用のタブレットを導入する
オーダーの確認を徹底すればオーダーミスによるロスはほとんど発生しなくなります。
しかし、オーダーの確認を徹底したとしても、お客さんの勘違いによるオーダーミスまで防ぐことはできません。
居酒屋などアルコールを提供している店だとお客さんが酔っ払った状態で注文するため、お客さんの勘違いによるオーダーミスが余計に発生しやすくなります。
お客さんの勘違いによるオーダーミスを防ぎたいのであれば、注文用のタブレットを導入してお客さん自身に注文してもらうしかありません。
タブレットで注文するシステムにすれば注文内容が端末に記録されるので、こちらのミスではないということを簡単に証明できます。
ただ、お客さんの中には、タブレットに残っている注文の履歴を見せても納得しない人もいるので、そういったケースにどう対応するかを事前に考えておく必要はあります。
まとめ
飲食店のロス管理について紹介してきました。
食材には、料理に使えるところと使えないところがあるため、廃棄する部分が出てしまうのはしょうがないことです。
しかし、発注ミスや保管ミスによって発生する食材ロスは店舗の努力によって削減できるものです。
これらの食材ロスは店舗の売上に影響をあたえるのはもちろんエコロジーの観点でも問題だと言えるため、なるべく発生しないようにしていきましょう。
その他の食材ロスについても、今回紹介した対策方法を取り入れてもらえればほとんど発生しないレベルにまで抑制できるはずですので、ぜひ実践してみてください。