飲食店を営業する上で悩まされるのが、害虫の問題です。とくにゴキブリの発生は、飲食店では避けて通れない問題だといえるでしょう。
ゴキブリは繁殖力が高く、見た目にも不快です。なによりもサルモネラ菌などを持っている「衛生害虫(人の疾病にかかわる害虫)」のため、飲食店で発生すると衛生管理上に問題が出ます。
ゴキブリが発生してしまった場合は、いったいどのように対処すればよいのでしょうか?
この記事では、ゴキブリを全滅させるための方法、店舗にゴキブリが出る原因と対策について詳しく説明します。
「お店にゴキブリが出たので退治したい」、「ゴキブリが出ないように対策したい」とお考えの方にとっては、非常に役立つ内容となっています。
ゴキブリを全滅させる効果的な方法は
ゴキブリは少しでも生き残っているとすぐに繁殖してしまいますので、駆除するには全滅させることが大前提です。
飲食店に多く発生するのは「チャバネゴキブリ」という種類になります。2センチくらいの小さめで茶色のゴキブリで、繁殖力が高いのが特徴となります。
一年中生息しているため放っておくとすぐに大量発生してしまう、とても厄介なゴキブリです。
他にも飲食店では
- ワモンゴキブリ
- クロゴキブリ
といった種類も見られます。どのゴキブリにも効果のある駆除方法は、次の通りです。
ベイト剤を使う
ベイト剤とはいわゆる毒餌のことで、ホウ酸団子などを指します。ベイト剤を食べたゴキブリが巣に帰ってから死に、その死骸を他のゴキブリが食べることで巣ごと死滅させるというものです。
即効性はありませんので、ある程度の期間続けて実施する必要があります。
同じベイト剤を使い続けると耐性を持つゴキブリが出る可能性があるため、定期的に変更するのが効果的です。
捕獲シートを設置する
「ゴキブリホイホイ」に代表される、粘着性のある捕獲シートです。
粘着シートのセンター部分にゴキブリをおびき寄せるにおいを出す薬品を置き、ゴキブリのいそうな場所に設置して退治するものです。即効性があり、効果が目に見えてわかるのが特徴となります。
大量に捕まっている場合は衛生上に問題があるため、捕獲されているかどうか最低でも半年間隔で定期的に確認する必要があります。
長期間放置してしまうと、捕獲シートの中で巣を作ってしまうので注意です。
殺虫剤・燻煙剤を使う
殺虫剤や燻煙剤もゴキブリ退治に効果的です。スプレータイプの殺虫剤は飲食店であれば数本は常備し、ゴキブリを見かけたら即使用できるようにしておきます。
食品衛生上問題が少なく、即効性のある「瞬間冷凍タイプ」の殺虫剤がおすすめです。
燻煙剤は薬剤を燻煙させて殺虫するタイプのものです。店舗の閉店時に使用し、食材や食器に影響がないように注意が必要となります。
いずれの場合でもゴキブリの死骸は即処理し、お客さまの目に入ることのないようにしましょう。
プロに駆除を依頼する
手に負えないほどゴキブリが頻繁に出るようなら、害虫駆除業者に依頼するとよいでしょう。プロに頼むのが、ゴキブリ全滅に一番効果的なのは間違いありません。
駆除と同時に予防措置もしてもらえます。定期的に来てもらえる業者が理想的です。
費用的には10坪で5万円から10万円程度が相場ですが、店舗の階数や立地条件によって大きく変わります。
「複数の業者に見積もりを取る」、「周囲の飲食店におすすめの業者を聞いてみる」など、費用対効果の高い業者を探すようにしましょう。
飲食店でゴキブリが発生する原因と対策
飲食店でゴキブリが発生し繁殖するのは、いくつか原因が考えられます。原因に見合った対策をし、発生させないようにするのが非常に重要です。
外部から侵入するゴキブリの侵入経路をふさぐ
ゴキブリの発生原因としてもっとも多いのが外部からの侵入です。ゴキブリはありとあらゆる穴を通って店内へ侵入してきます。
- 玄関、勝手口、窓
- 換気扇
- 排水管
- エアコンの配管
- 壁のひび割れ
ざっと挙げただけでも、上記の経路が考えられます。それをふさいでしまうのが、一番の予防法です。
外部から侵入するゴキブリの対策は玄関や勝手口、窓は開けっ放しにせず閉めるようにすることです。
エアコンの配管や壁のひび割れについては、パテを埋めるなどすき間を徹底的になくします。
換気扇や排水管などふさげない場所については、網やフタなどの対策をし、ゴキブリが入るすき間をなくすのが有効です。
排水管にはトラップを設置したり、熱湯を流したりするのも効果があります。ただし熱湯は配管を痛める可能性があるので注意しましょう。
さらに、侵入しそうなところにはベイト剤やゴキブリの嫌うにおいを出すハーブなどを設置し、とにかく侵入を防ぐような施策を取るのが非常に重要です。
高温多湿を好むゴキブリの住みやすい環境をなくす
ゴキブリが発生する原因として、高温多湿で暗く狭い場所を好むことにあります。ですので、ゴキブリにとって住みやすい環境を、できるだけ排除するのが効果的です。
水分がないとゴキブリは生きていけないため、水気をできる限り断つようにしましょう。
シンクの下や冷蔵庫の裏など、高温多湿になる場所は定期的に掃除するようにします。観葉植物の鉢も湿気を発生させるため、こまめに位置を変えたり風の通る場所に置いたりするのが有効です。
水を使用して掃除した後は換気してできるだけ湿気を逃がす、湿気のたまる倉庫などには除湿剤を置くなど、できる限りの対策を打ちましょう。
エサとなるものが豊富にある状態をなくし店内を清潔にする
ゴキブリの発生原因の1つとしてゴキブリは基本的に雑食ということが挙げられます。エサになりそうなものは絶対に出しっぱなしにしない心掛けが非常に大切です。
店舗で使用する食材については、必ず密閉できる容器や保管庫に収納します。
段ボール箱はすき間が多く、ゴキブリが食い破り卵を産んでしまう可能性が高いため、食材を入れたまま外に置くのは避けましょう。
ごみを捨てる場合は必ずフタのついたごみ箱にし、店内に長時間おかないようにします。
客席や調理場に落ちた食材のカスなども格好のエサとなりますので、常に掃除してきれいな状態を保つのが大切です。
常に清潔を心掛け、食材をきっちりと管理するだけでもゴキブリの発生はグンッと減らせるでしょう。
ゴキブリが発生した際におこりうるトラブル
店舗にゴキブリが発生した際に考えられるトラブルについては、次の事柄があげられます。
風評被害
店内でゴキブリが発見されると、お客さまに不快感を与えるのは間違いありません。近年ではSNSの発達により、悪い評判はすぐに拡散してしまいます。
「ゴキブリが出るような不潔な店だ」などの悪評が広まると客足に直接影響して、売上の損失につながる可能性が非常に高くなります。
商品への混入
食材や商品に異物として混入してしまうと、大きなクレームとなるのは必至です。店舗の衛生問題を疑われ、行政指導の対象となることも考えられます。
もちろん風評被害からは逃れられず、より大きな痛手を負うこととなるでしょう。
食中毒の発生
食中毒の発生は、店舗の存続すら危ぶまれるほど大きな問題です。
ゴキブリはサルモネラ菌や大腸菌を持っており、「衛生害虫」と呼ばれています。万が一、食中毒などが出てしまった場合、営業停止処分は免れません。
最悪の場合は閉店・廃業も考えられるほど重大な問題です。
たとえば食中毒の原因がゴキブリだと特定されなくても、「食中毒者が出る店は衛生上の問題がある」と判断されても致し方ありません。
まとめ
ゴキブリが飲食店で発生してしまうのは、ある意味仕方がないかもしれません。かといって対策を考えずに放っておくと、必ず重大なトラブルを引き起こします。
ゴキブリは短期間で繁殖して数が増えてしまう、厄介な害虫です。
対処できなくなるほど増えてトラブルとなってしまわないように、できる限りの対策を打っておくのが賢明だといえるでしょう。