飲食店を経営する上で気をつけなくてはならない異物混入によるトラブル。
東京都福祉保健局が公表しているデータによると、東京都内だけでも年間で2,500件以上の異物混入によるトラブルが発生しています。
参考:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kujou/index.html
「あの店、料理の中に虫が入っていたらしいよ…」など、良くない噂が立ってしまうとお客さんの入りにも影響が出るため、異物混入は何としても避けなくてはいけません。
この記事では、飲食店での異物混入によるトラブルについて紹介していきます。
異物混入の原因や具体的な対策方法についてはもちろん、万が一発生してしまった場合の対応方法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店で異物混入が発生してしまう4つの原因と対策方法
飲食店での異物混入によるトラブルが発生してしまう主な原因としては、4つがあげられます。
- 体毛が混入してしまった
- スタッフが身につけているものが混入してしまった
- 調理用具や食器など備品の一部が混入してしまった
- 虫が混入してしまった
それぞれの原因の内容と発生を防ぐための対策方法について解説していきます。
体毛が混入してしまった
飲食店で提供する料理やドリンクに混入してしまいやすいのが、髪の毛などの体毛です。
「髪の毛ぐらい…」と気にしない人もいますが、知らない人の体毛が料理やドリンクに入ってしまっているのは気持ちのいいものではありません。
体毛の混入を防ぐには、店舗のユニフォームとして帽子を取り入れたり、髪の毛の長いスタッフは髪の毛をアップにして後ろで束ねるなどの対策が有効です。
また、男性スタッフの場合は腕の毛やヒゲが混入してしまう可能性もあるので、定期的に整えるなどして対策を徹底しましょう。
スタッフが身につけているものが混入してしまった
飲食店では、アクセサリーなどスタッフが身につけているものが料理やドリンクに混入してしまうことも多々あります。
腕につけていた輪ゴムが混入したり、手に貼っていた絆創膏が混入してしまうケースもあるようです。
スタッフが身につけているものの混入を防ぐには、店舗で働くときはアクセサリー類を外すなど異物混入の原因を元から断つ必要があります。
絆創膏は、傷口から出た血が混入してしまう可能性があり外すことはできないので、定期的に新しいものに交換するなどの対策が必要になります。
調理用具や食器など備品の一部が混入してしまった
飲食店では、調理器具や食器などさまざまな備品を使用しますが、それらの一部分が料理やドリンクに混入してしまうケースもあります。
このケースの場合、お客さんが気づかずに口をつけてしまって怪我をする可能性があり、大きなトラブルにも発展することもあるため絶対に避けなくてはいけません。
調理器具の状態を定期的にチェックし、古くなってきているものは早めに交換したり、料理やドリンクを提供する前に食器の状態を確認してから提供するなどの対策を徹底しましょう。
虫が混入してしまった
飲食店を経営する上で悩まされることになる「虫」。
虫は「生理的に受け付けられない」という人が多く、髪の毛や異物の混入以上に大問題に発展してしまいかねません。
- 掃除を徹底する
- 駆除業者と契約して定期的に駆除作業を実施してもらう
- 調理する前に食材の状態をしっかりとチェックする
など、徹底的に対処して虫の混入を防ぐようにしましょう。
異物混入が発生してしまったときの正しい対応方法
店舗の存続にも大きく影響してしまうため、異物混入によるトラブルは避けたいところですが、どれだけ対策していても発生するときはしてしまいます。
そこで把握しておきたいのが、異物混入が発生してしまったときの正しい対処法についてです。
異物混入が発生してしまったときの正しい対応のポイントとしては、5点があげられます。
- 責任者が対応する
- 話を遮らない
- 否定しない
- 事実関係をしっかりと確認して把握する
- お詫びの方法はこちらから提案する
それぞれ詳しく解説していきます。
責任者が対応する
異物混入は飲食店の今後を左右する大きな問題です。
対応の仕方を誤ってしまうと、悪い噂が立ち、お客さんが離れていってしまう可能性があるので、必ず責任者が対応するようにしてください。
店舗のオーナーや店長がいないときは、社員やバイトリーダーが対応したり、責任者に電話で指示を仰ぐなどして対応しましょう。
話を遮らない
クレーム対応に慣れていない方は、お客さんの話を遮って自分の主張を始めてしまう傾向にあります。
怒っているお客さんの話を途中で遮ってしまうと、火に油を注ぐ結果になりかねません。
異物混入が発覚した直後は、お客さんも動揺していたり、頭に血がのぼっていたりしてヒートアップしてしまっていることが多いです。
そのため、冷静になってもらうためにも、言いたいことをすべて吐き出してもらってから対応するようにしましょう。
否定しない
お客さんの主張を否定してこちらの意見を前面に押し出すような対応も、クレーム処理で絶対に避けるべき対応の一つです。
相手が怒っている場合、主張を否定されるとよりヒートアップしてしまうので、お客さんの主張を否定することなく問題を解決するようにしましょう。
ただ、提供した料理を完食しているにも関わらず、
「異物が混入していたから無料にしてほしい」
「異物混入で不快な思いをしたから賠償してほしい」
など、明らかにおかしな主張をしてくるお客さんに対してはこの限りではありません。
そういったおかしな主張に対しては毅然と対応するようにしましょう。
事実関係をしっかりと確認して把握する
異物混入によるクレーム処理においてお客さんを怒らせてしまったりより不快な思いをさせかねないのが、「事実誤認」です。
お客さんの主張を聞き流していると、事実誤認が発生して事態をよりややこしくしてしまうことがあります。
そういったことを避けるためにも、お客さんの主張に耳を傾け、事実をしっかりと確認・把握した上で対応をするようにしましょう。
お詫びの方法はこちらから提案する
異物混入は店舗側に非があるケースがほとんどですので、何かしらの形でお詫びしなくてはいけません。
しかし、ほとんどのお客さんはお詫びを目的としてクレームをつけているわけではないので、お詫びの方法はこちらが考えて提案する必要があります。
過剰な対応をする必要はありませんが、
- 代金を受け取らない
- 次回来店時に使用できる無料券やクーポンを渡す
など、できる限りの対応をして誠意を見せるべきです。
また深刻度が高い場合などは、お客さんの住所を聞いておいて、後日菓子折りを持って謝罪しにいくといった形での対応もおすすめです。
まとめ
飲食店での異物混入について紹介してきました。
異物混入はどの飲食店でも発生する可能性があります。
実際、大手のチェーン店でも異物混入が発生し、SNSやメディアで取り上げられるなど度々大きな問題に発展しています。
ただ、原因を把握してしっかりと対策していれば、そうそう発生するものではありません。
この記事で紹介した対策方法を実施して異物混入によるトラブルを防ぎましょう。
また、万が一異物混入が発生してしまったときは、すでに不快なお客さんをより不快にさせるような対応はせず、冷静に対応するようにしてください。