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飲食店の物件選びは業態で変わる?内見のポイントや居抜き物件についても解説

飲食店の物件選びは業態で変わる?内見のポイントや居抜き物件についても解説

飲食店を新しく立ち上げる際には、調理を行う場所すなわち「物件」を選ぶ必要があります。

物件選びと言っても、飲食店の業態によって選ぶべき物件は様々です。広ければ優れているではなく、駅に近いほど利益が出るものでもありません。

ここでは、内見のポイントや居抜き物件を含めた、飲食店のための物件選びについてご紹介いたします。

開業予定のお店の業態がすでに決まっている場合は、どのような物件が運営に適しているか見比べながら確認しましょう。

飲食店の物件選びは慎重に

飲食店は、一度出店してしまうと簡単には移転できません。売り上げが立たず、仕方なく移転するとしても

  • お店の認知度
  • 移設費用

など、失ってしまうものも多いです。売り上げ予測や事業計画をふまえて、飲食店の物件選びは慎重に行いましょう。

物件選びの前にまずは物件(立地)探し

物件よりもまず重要となるのが立地選びです。集客ができず売り上げが立たないのであれば、いくら良い物件を選んでも意味がありません。

そして、ターゲットとするお客様が足を運んでくれるかどうかはもちろん、その立地の雰囲気と店のイメージやコンセプトがマッチしているかどうかも考えなければいけません。

落ち着いた雰囲気のカフェを開業するのであれば、人通りが多いからといって賑やかな繁華街に出店するのは不相応です。物件選びの前段階である立地選びでは、アクセス条件だけでなく、「ターゲット層がいる街か」や「コンセプトにあった街かどうか」に注目しましょう。

飲食店のための立地選びはこちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。

立地選びは重要ですが、繁盛しているお店が必ずしも好立地にあるわけではありません。SNSによる口コミの拡散などの、良い立地を前提としないマーケティングが行えるのであれば、優先度は低くなります。

飲食の業態により必要な広さが異なる

お店の広さ

飲食店の物件選びの際に最初に頭を悩ませるのが、物件の広さです。今までお店を運営したことがない方にとっては、どのくらいの広さが必要なのかわからない方も多いはずです。

物件選びは

  • テイクアウト
  • デリバリー
  • イートイン

などの業種によっても異なります。特に開業資金が少ないのであれば、必要のない設備や客席数を削ぎ落とすことで、初期費用を抑えるのが一般的です。

提供する商品やお店の業種・業態と照らし合わせながら、必要な広さを確認しましょう。

物件の広さの単位

一般的な物件の広さでは平米(㎡)で表記されることが多いですが、飲食店の物件の広さは、坪単位で表されることも多いです。不動産に問い合わせる際も坪単位を理解しておくと話がスムーズに進みやすいので、慣れておくと良いでしょう。

  • 1坪は換算すると、およそ約3.3㎡となります。

他にも日本独自の面積の単位に「畳」もあり、畳2枚分が1坪です。不動産サイトに記載された坪単位のイメージが湧きづらい方は、馴染みのある畳で換算すると物件の広さがわかりやすいかもしれません。

飲食店であればどんな業種・業態であれ、10坪〜程度の広さがあれば開業できると言われています。大型の調理設備が必要ないタピオカなど、飲み物だけの飲食店であればさらに5坪〜でも開業可能です。

所有している土地を活用して2階以上ある店舗を運営する場合でも、2階へ移動するためのリフトや2階分のスタッフも用意しなければなりません。リフトや階段で有効な坪単価も減ってしまう点にも注意しましょう。

業態による物件の広さ目安

必要とされる物件の広さは、提供される商品やコンセプトによっても異なりますが、飲食店では業態によって求められる広さがある程度決まっています。

お客様が店内に入るイートインタイプのお店であれば、厨房以外にも座席も含めて店内面積を考慮しなければなりません。一般的な店舗の席数の広さ目安は、1坪で2席とされていますが、高級店なほどゆったりとした座席配置が求められます。

【業態別1坪あたりの座席数の目安】

業態座席数目安
居酒屋1坪当たり1.5席
カフェ1坪当たり1.5〜2席
ファミリーレストラン1坪当たり1.2~1.3席
高級なレストラン1坪当たり1席

これらの座席数は物件の広さから割り出せますが、資金に制限があるのであれば、必要な座席数から物件の広さを決めるのも一つの手です。

30坪の広さの物件でカフェを開業なら、【30坪×2】で60席ほと座席を構えられるという計算となります。

厨房と客席の比率

座席の他にも、お店の業態に合わせて厨房と客席の比率も考えなければなりません。座席を決める際と同様に、お店のコンセプトから「どのくらいのゆとり」をもたせる必要があるかを決めましょう。

【厨房と客席の比率例】

業種比率
一般レストラン厨房・40% 客席・ホール60%
居酒屋、イタリアン、和食厨房・30% 客席・ホール70%
カフェ、バー、そば・うどん厨房・20% 客席・ホール80%

駐車場のありなし

お店の立地が駅に近かったり、人通りの多いエリアに出店するのであれば、駐車場は必要ないかもしれませんが、ロードサイド店舗などの郊外に店を出す際は、必ず必要になります。

ロードサイド店舗のような、ターゲット層が車で来店する店舗は、「駐車場面積をどれだけ確保できるか」が売り上げに直結するといっても過言ではありません。郊外のため基本的には賃料が安くなりますが、確保すべき敷地面積も大きくなります。

ただ広ければ良いというわけではなく、店内の座席数と合わせて決めていくのが一般的です。座席が30席もあるのに、駐車場が5台分しか停められないのであれば機会損失となってしまいます。

ターゲット層が「何人乗りの自動車で来店するか」も含めて考慮し、駐車場の広さを決めましょう。

駐車場の台数の目安

駐車場のある飲食店でも徒歩で来店されるお客様は当然存在します。特にアクセスの良い立地ほど自動車以外での来店も増えます。

そのため、幹線道路や道路沿いなどの比較的アクセスの良い立地では、最低でも総テーブル数以上、総座席数で5分の1程度の駐車場を確保しておくと安心です。さらに郊外になれば、総座席数の2分の1程度の駐車場を用意するのがおすすめです。

その他にも従業員が車で通勤することも考えられるので、その分の駐車場も計算に含めるようにしましょう。

家賃は売り上げから考える

売り上げを出しても、コストとなる家賃が高ければ、当然利益も少なくなります。物件を決める際は、売り上げに見合った家賃を選ぶようにしましょう。

飲食店の家賃は売り上げの10%以下が良いとされており、小さい店舗であれば7%前後が一般的です。

  • 例えば、家賃が15万円だとすると一日の売り上げは、5万円程度が必要で、月間の売り上げ目安は150万円になります。

業態によって売り上げや必要経費は異なるため、計画通りに進めるためには事前にシミュレーションすることが重要です。家賃の安さだけではなく、この物件を選んで目標売り上げを達成できるかの「1坪当たりの売上」を基準に選ぶようにしましょう。

そして、飲食店の家賃を考えるうえで外せないのが、FLR比率です。FLR比率とは売上に対する

  • 家賃
  • 食材
  • 人件費

など、各コストの割合を指しています。60〜70%以内に収めるとよいとされているため、家賃は10%以内が目安となっています。

家賃以外のコストに余裕が生まれれば、その分家賃の許容範囲を広げることも可能です。そのため、お店を運営する際は家賃単体だけではなく、人件費や光熱費も含めたFLR比率に注目するようにしましょう。

物件候補は内見を必ずすること

ガスコンロ

不動産屋で紹介された物件や、ネットでみつけた物件で気になるところがあれば、必ず内見をするようにしましょう。

図面や外観は写真で確認できますが、実際の内見ではその場の雰囲気や数字では見えない特性が見えてくるはずです。物件によっては、まだオーナーのお店が営業中で何度も伺うことができないケースも多いため、ここで紹介する内見のポイントをきちんと抑えておきましょう。

近年はオンラインでの内見も進んでいますが、理想に近い物件は自分の目で確かめるのがおすすめです。

電気・ガスの出力を必ず確認

もし火を使う調理が必要な業態であれば、ガスの設備は欠かせません。そして電気はが業態問わず必要になります。

内見の段階でお店が運営されていれば問題はありませんが、空き物件となっていた場合は電気・ガスの出力を必ず確認するようにしてください。

  • 飲食店開業の工事に1番コストがかかるのが、このようなインフラの整備だとされています。新たにお店を構える際に、どこまで改装する必要があるのかの判断基準にも関わってくるので、気になる箇所は写真を撮るなど後から見直せるようにしておきましょう。

そしてもうひとつ注意しなければならないのが、その物件で使われているガスの容量です。物件が飲食店として使われており、居抜き物件などで造作物が残っている場合は、ガス設備も残されているのが普通です。

飲食店の業態によっても、必要なガスの容量はことなり

業態ガス容量・号数
小料理、バー、カフェ4~6号
居酒屋、洋食、和食6~10号
イタリアン、ラーメン10~16号
中華料理16号以上

と、火力が必要な中華料理店では16号以上が必要となります。

このガスメーターの号数で利用可能な飲食業種を判断しており、必要容量に満たなければ、その物件での開業を断られたりすることもあります。ガス管の引き直し料金が発生することもあるのため、念入りに確認するようにしましょう。

同業者に内見を同行してもらう

自分のお店を持ったことがない未経験者であれば、知識があったとしても初めての内見は不安になってしまうかもしれません。もし可能なのであれば、同業者に同行してもらい希望の物件を内見するといいでしょう。

データ上は問題なくとも、感覚的に判断することは重要です。そのような感覚的な判断は、今までの経験からくるものなので、飲食店運営の経験が豊富な方の同行がより望ましいです。

内見に不動産屋のスタッフが同行するケースは多いですが、

  • 知り合いの同業者
  • フランチャイズの本部スタッフ
  • 一緒に営業する方
  • 内装工事業者同伴

と同行してもらうと、開店後のイメージがより湧きやすいかもしれません。同行する同業者は、自身の開店予定と同じの業態であれば、より確実性も高まります。

飲食店の物件選びで人気の居抜き物件

飲食店の開業にあたって、物件を1から探したり、立て直したりすると費用も膨れ上がってしまいます。そこで費用を抑えたいオーナーにおすすめなのが居抜き物件です。

居抜き物件とは、以前のテナントが使用していた設備・内装を残したままの店舗を指します。開業費用の削減の他にも様々なメリットがあり、これから開業する方の大きな助けとなるはずです。

すでにどのようなメリットやデメリットがあるかご存知の方も改めて確認しましょう。

居抜き物件のメリット

居抜き物件では、一般的に以下のようなメリットが受けられます。

  • 開業資金の削減できる
  • 工事期間の短縮できる
  • 市場に多く出回っているため確保しやすい

設備が整えられている居抜き物件では、そのまま使いまわせるため、1から設備を導入するよりも早く開業できます。開業するにあたって、時間とお金を節約したい方に向いています。

一般的な物件(スケルトン物件)では、コンクリートなどが剥き出しの状態で売られていることがほとんどです。そこから、厨房やガスなどの設備を整える工事には、100万円以上の費用がかかることもあるため、設備を新しく導入する必要がないのは、一般物件と比べて大きな利点であると言えます。

そして、どんなに良い物件でも、確保できなければ意味がありません。居抜き物件が、スケルトン物件より市場に多く出回っている点もメリットの1つでしょう。

居抜き物件のデメリット

開業までの時間の短縮や開業資金の削減などのメリットがありますが、以下のようなデメリットにも気をつけなければなりません。

  • 内装を変えようとすると撤去費用が必要
  • 前店舗の印象を引きずってしまう
  • 経年劣化で使えない設備にあたる可能性がある

居抜き物件では、設備をそのまま譲り受けれるため、内装やレイアウトを大きく変えられません。居抜き物件でも改装は可能ですが、レイアウトを変えようとすると、費用が発生してしまいメリットも薄れてしまいます。

また、内装をそのまま使い回すと、どうしても前店舗の印象を引きずってしまうため、「新しさ」や「新規オープン感」が感じられません。

ただ、壁紙の色を変えたり、インテリアを新しく設置したりすることでも印象は変えられます。前店舗と差別化を図るために、自身のお店のコンセプトに合わせた装飾を心がけましょう。

居抜き物件で注意・必ず確認すること

居抜き物件は設備・内装が整っていることがメリットの1つとして挙げられますが、それは新しいトラブルの発生原因にもなります。

お店が閉店する理由はさまざまですが、前のオーナー退去したということは、物件に何かしらの欠点がある可能性もないわけではありません。そのため、以下の点に注意して物件を選びましょう。

  • 前の事業が何なのか
  • 何故閉店したのか
  • 譲渡対象の設備が正常に動くか

前の事業と自身が開業するお店の業態が全く異なるものであれば、撤去費用が加算されて、開業資金が逆に多くなることもあります。居抜き物件のメリットである「設備をそのまま譲り受けられる利点」を最大限まで活かせるように下調べするようにしましょう。

そして、譲渡対象の設備が正常に作動するかどうかの確認も忘れてはいけません。ガスや電気などの設備の確認はよく行われますが、排水管の詰まりは見落とされがちです。開業後にトラブルが発生してしまうと、営業停止する事態にもなりかねませんので、ご注意ください。

  • 知り合いなどから物件を譲り受ける場合、口頭で約束してしまい、後でトラブルとなるケースが多いです。居抜き物件を引き継ぐ際は、必ず造作譲渡契約を文書として残すようにしましょう。

物件選びは不動産会社で相談がおすすめ

不動産会社

飲食店向けの優良物件は、実際に借りる可能性の高い方や実績のある優良企業にしか紹介されないため、インターネット上に情報が出ないことが多いです。一見、物件数だけは豊富に表示されているサイトであっても、同じ物件が並んでいるだけの場合もあります。

そのため、優良物件を求めるのであれば、実際に足を運んで不動産会社で相談するのがおすすめです。会社ごとによっても取り扱っている物件が異なりますので、複数の不動産会社を利用して理想の物件を探すようにしましょう。

  • 「数か月後に閉店する」などの事前の情報はネットにはあまり出てきません。このような特別な関係者しか知らないようなお得な情報も、不動産会社から得られる可能性もあるので、期間に余裕を持って相談を始めるのがおすすめです。

また、設備的な問題で「飲食店不可」としてる物件もあるため、不動産会社に相談する際は、物件を借りる目的を最初に伝えておきましょう。

まとめ

物件選びは飲食店の開業での重要なステップです。特に設備工事は、開業する際のコストの大部分を占めています。居抜き物件を利用すれば、費用を抑えられますが気をつけなければならない点もいくつかあります。ここで紹介したポイントをふまえながら内見し、自身にあった優良物件を見つけてください。

そして出店する物件が決まったら、続いて契約や申し込みに進むことになります。飲食店向けの物件契約や申し込みについては別の記事でご紹介しているので、そちらもあわせてご確認ください。

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