お気に入りの調度品や食器、厳選した豆で淹れる自家製コーヒーなど、個人経営のカフェは自分の理想を反映した店舗を作ることができる点が魅力です。
一方で、カフェ経営は、隠れ家的な個人店以外にも全国展開する大手チェーン店など競合が多く、飲食店の中でも回転率や単価が低いといった難しさもあります。
この記事では、カフェ経営を始める方法や経営を成功させるためのポイントなどを紹介しています。
将来は独立してカフェ経営をしたい人や自分だけのお店を構えたいと考えている人などは参考にしてください。
カフェ経営を始める方法
カフェ経営を始めるには、大きく分けて以下の3つの方法があります。
- 自分で個人経営のカフェを開業する
- 雇われ店長として既存のカフェ経営に携わる
- フランチャイズでカフェを開業する
個人経営の場合、出店場所や店舗の外装・内装から始まり、メニューや提供方に至るまで「こういったコンセプトにしたい」という自分の理想を反映したカフェの開業が可能です。
とはいえ、「いきなり独立して開業するのは不安」という場合、カフェを経営する企業に入社し、雇われ店長として経営に携わるという方法があります。
また、加盟者を募集しているフランチャイズに申し込むこともカフェ経営の選択肢の一つです。
フランチャイズの場合、出店場所の候補・工事事業者の紹介、仕入れ先やメニューのレシピ提供、その他にもさまざまなサポートを本部から受けられるため、カフェ経営の経験がない人でも開業できます。
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また、メニュー開発の時間や労力を削減する工夫としても、カフェの経営を考えている方にとってフランチャイズ加盟は有利です。
自分の理想とする店舗にプラスアルファするならどんなメニューが良いか、という視点でフランチャイズを探してみるのも良いでしょう。
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カフェと喫茶店の違いはある？
2023年7月現在、「カフェ」と「喫茶店」に法的な区別はありません。
2021年6月に食品衛生法の改正があり、喫茶店の開業に必要な営業許可は廃止となり、カフェの開業に必要な飲食店営業許可に統合されたためです。
よって、現在は両者に明確な違いはなく店舗のイメージやコンセプトに合わせて自由に、カフェや喫茶店を名乗ることが可能です。
カフェ経営の年収
個人経営のカフェの場合、店舗の規模にもよりますが、10〜30席程度のカフェであれば年収は360万円程度です。もちろん日によっては集客人数が数人程度となるケースもあるため、360万円よりも年収が下回ることがあります。
中には、1ヶ月で100万円以上の売り上げを出し、オーナーの年収が1,000万円を超えるようなカフェもありますが、一般的とは言いづらい状況です。
また、フランチャイズのカフェの場合、開業・経営サポートやブランドの宣伝力を借りられる一方で、毎月フランチャイズ本部にロイヤリティの支払いが必要です。
そのため、カフェの売上が芳しくないと、オーナーの年収は200万円未満ということにも陥りかねません。
カフェ経営の魅力
カフェを経営することには、さまざま魅力があります。カフェ経営で得られる年収は決して高くはありませんが、それを上回る魅力があります。ここではカフェ経営に興味のある方、脱サラしての開業を検討している方に向けてカフェ経営の魅力を紹介します。
資格を取得すれば誰でもできる
カフェの経営にあたっては食品衛生責任者の資格や飲食店営業許可が必要ですが、これらは比較的容易に取得可能です。
また、カフェや喫茶店は調理師免許を持っていなくても開業できます。
そのため、飲食店に興味がある、コーヒーが好きでコーヒーに関する仕事ができないかと思っているといった人でもカフェを始められます。
自分のこだわりを反映できる
先ほども触れていますが、個人経営のカフェの場合、自分のこだわりをとことん反映することができます。
例えば、内装やカップ、ソーサー、豆の種類など、自分がいいと思ったものをお店に取り入れられるため、毎日楽しみながら仕事ができるでしょう。
また、自分がいいと思ったものをお客さんも良いと感じてくれれば、さらに大きな喜びが得られます。
カフェ経営が厳しいと言われる理由
カフェ経営に魅力がある一方で、経営は簡単ではありません。このように言われる理由としては以下のような点が挙げられます。
- 客単価が低い
- 回転率が低い
- 競合店が多い
カフェの主力メニューはコーヒーですが、コーヒーの価格は決して高くはないため、客単価も自然と低くなります。
高級な豆を仕入れるなどすれば、コーヒーの単価を上げることもできますが、仕入れにかかるコストも高くなるため、大きな利益を上げるのは難しいかもしれません。
そのため、コーヒーに加えて食事メニューを提供するなどして、客単価を上げるための対策が必要となります。
また、カフェはコーヒーを飲みながらゆっくり過ごす人が多いため、回転率も低くなります。
例えば、500円のコーヒーで2時間滞在するといった人も出てくるでしょう。
しかし、だからといって滞在時間を制限するといったルールを設けてしまうと、顧客がカフェに求めるものがぼやけてしまうため、客足が遠のく恐れがあります。
そのほかにも、競合店が多く売上が思ったように伸びないことも考えられます。
特に有名チェーン店は各地にありドリンクメニューもフードメニューも充実していることから大きな脅威となるでしょう。
また、近年では動物と触れ合えるカフェや漫画が読めるカフェなど、ある分野に特化したカフェも出てきており、競争がより激化しています。
カフェ経営で失敗してしまうケース
意気揚々とカフェを開業したものの、経営に失敗してしまうケースは少なくありません。具体的には以下のようなケースが失敗につながりやすいといえます。
- 最初から大きな投資をする
- 収支計画が甘い
- 集客施策が効果的でない
ここではそれぞれのケースについて解説します。自分が同じ失敗をしないためにも参考にしてください。
最初から大きな投資をする
カフェ経営で失敗するよくある例が、最初から大きな投資をしてしまい、それを回収できなくなってしまうというものです。
特に脱サラして開業する場合、念願のカフェに意気込んでしまい、メニューや内装、コーヒー豆など自分の理想をとことん詰め込んでしまうケースが少なくありません。
理想を追求することは悪いことではありませんが、その分費用がかかるのも事実です。
開業から軌道に乗るまでに時間やお金がかかることを考慮し、最初から大きな投資をするのではなく、様子を見て徐々に規模を大きくしておくことをおすすめします。
収支計画が甘い
カフェのような飲食店は景気変動の影響を受けやすい水物商売であるため、当初の計画通りの利益を生み出せずに経営が悪化することも珍しくありません。
とくにカフェは客単価が低く回転率が低い傾向にあり、工夫しなければ大きな利益を出すことが難しくなります。
また、売上にかかわらず、家賃や水道光熱費といった毎月の固定費の支払いも必要です。カフェ経営をスタートする前に予備費として最低でも6か月分の運転資金を確保しておきましょう。
集客施策が効果的でない
集客施策が不十分でお客さんが集まらず、経営が苦しくなるケースもあります。
なぜこのような事態が起こるのかというと、オーナーが自分のお店のこだわりや仕入れているコーヒー豆などに自信があり「お客さんは自然と集まるはず」、「これだけのものを用意したのだからみんな喜ぶはず」と思い込んでいるためです。
しかし、カフェは有名チェーン店をはじめとして競合が多く、積極的に集客施策を打たなければ集客は難しいといえます。フリーペーパーなど絵の広告掲載やチラシの準備、SNSの活用など集客施策を検討することが大切です。
また、カフェであれば、オープン初日はコーヒーのお代わり一杯無料、朝の時間帯はコーヒーが1割引などの施策が考えられるかもしれません。
カフェ経営の成否を左右する要素
カフェを経営するにあたっては、以下のような要素が売り上げを左右するポイントとなります。
- 店内の構造
- 座席数
- 立地
- メニュー
広々としてくつろげる店内なのか、カウンター席のみなのか、店内の構造によって客層が変わってくる可能性があります。
例えば、カウンター席であれば、一人客やコーヒーを楽しんでいる客などが増えるかもしれません。
また、カフェは回転率が低いことから座席数を確保することで売り上げアップを目指すこともできます。
ただし、座席数に応じて従業員を増やす必要があるかもしれません。
そのほかにも、お店の立地や取り扱うメニューも売上に影響を与える要素となります。
カフェ経営を成功させるポイント
ここではカフェ経営を成功させるためにどういった点に注意すべきなのか解説します。基本的なポイントですが、重要な部分であるため参考にしてください。
メニューは少しずつ増やしていく
先ほどいきなり大きな投資をすると失敗しやすい、と説明しましたが、これはメニューに関しても同じことが言えます。メニューの幅を広げてしまうと、その分仕入れる食材なども増えるため、費用負担が大きくなります。
例えば、最初からコーヒーに加えて、紅茶やスムージーなどを展開するのではなく、コーヒーのみに絞って提供するといった形です。最低限のメニューから始めて、顧客のニーズに応じて少しずつ増やしていくことが大切です。
作業効率を意識する
いかにして作業効率を向上させるかも大切なポイントです。
例えば、パスタのような調理に時間のかかるメニューを避け、ケーキなどの作り置きができるメニューなどを取り入れるといったイメージです。
カフェはただでさえ回転率が低いにもかかわらず、メニューの提供に時間がかかってしまうとさらに回転率が低下してしまいます。
座席の位置を検討する
座席の位置を考慮することもポイントの1つです。
例えばカウンター席のみにすれば、スタッフの行動範囲が狭くなるため、作業効率がアップします。
また、お客さんとしてもカウンター席で長居をすることには抵抗を感じる人もいるでしょう。そのため、回転率向上が期待できます。
最適な従業員数を考える
従業員が多すぎる、少なすぎるといった状態は作業効率の低下やコストの増大を招くため、最適な従業員数は何人なのか考えておくことが大切です。
具体的には、従業員1人あたり何席を担当できるのか、座席数から必要な人数を検討してください。
開業資金を抑える
開業資金を抑えたい場合、居抜き物件の利用がおすすめです。もともとカフェだった物件を活用することで設備などをそのまま使えるため、費用負担を抑えられます。
また、設備や備品を購入する際に中古品を選ぶことも開業資金を抑えるポイントです。
設備を整える
お客さんにとって便利な設備を整えることも経営するうえでは大切です。例えば、支払いを現金だけでなく、キャッシュレス決済にも対応することで客層が広がるかもしれません。
また、カフェで長居をしたい人、作業をしたいと考えている人に向けてコンセントやWi-Fiなどを整えることもおすすめです。より長居する人が出てくる可能性がありますが、そのような場合2杯目、3杯目を注文することが予想されます。
また、「作業しやすいカフェ」として定期的に利用するようになる可能性もあるでしょう。
まとめ
今回は、カフェの経営方法やカフェ経営の魅力、失敗してしまうケースなどを紹介しました。
カフェは大きく分けて個人での開業、雇われ店長としての店舗経営、フランチャイズでの開業の3種類があります。
カフェは回転率が低く、単価も低いことに加え、競合も多いことから経営が難しいとされています。成功するためには、立地や店内の構造、設備などで他店との差別化を図ることが大切です。
また、最初のうちは小規模ではじめ、徐々にメニュー数を増やすといった形で進めていくことをおすすめします。
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