開業、起業、創立・・・独立を表す言葉はさまざまですが、意味を明確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?
これらの言葉の意味を理解することで、独立後に混乱することなくスムーズにスタートできるはずです。
今回は、これから独立する人のために「開業・起業・創立」についてシンプルにわかりやすく解説していきます。
実際にどのようなシーンで使われている言葉なのかも紹介します。
開業・起業・創立の意味と違いを解説!
まずはそれぞれの言葉の意味と概要を解説します。
開業とは
開業(かいぎょう)は、個人事業主として独立するときや、店舗・病院などをオープンするときによく用いられます。
個人事業主は、税務署に「開業届」を提出します。その影響もあり、個人事業主が独立するときには開業という言葉が一般的に用いられます。
医師や税理士も、個人を軸として立ち上げるケースがほとんどです。
”開業”の場合は「個人」がひとつのキーワードとなります。
店舗やホテルの開業は個人で立ち上げるとは限りません。しかし店舗の場合は「お店を開く」「開店する」と表現される通り、”開業”が最適と考えられます。この点は後半に改めて解説します。
かい‐ぎょう【開業】 1 新しく事業や商売を始めること。「病院を—する」 2 事業や商売をしていること。「—中」
引用元:
「開業」weblio辞書
起業とは
起業(きぎょう)は、「業を起こす」と書くように、新しくビジネスを始めることを言います。
似た言葉に「創業(そうぎょう)」があります。この2つは「意味の違いはない」とする辞書もある通り、ほぼ同じ意味と考えて良いでしょう。
しかし、最近では斬新なビジネスを生み出して社会的に活躍している人が「起業家」として認知されていたり、ベンチャーのスタートアップ時に使われることから「挑戦」「未来」などに関わる意味合いを強く帯びています。
き‐ぎょう【起業】 新しく事業を始めること。「—公債」
引用元:
「起業」weblio辞書
創立とは?
創立(そうりつ)は、新たに組織を立ち上げて事業やプロジェクト全般をスタートするときに使われます。
主に団体を対象として用いられる言葉なので、個人事業主やフリーランスで用いられることはありません。
似た言葉では「設立(せつりつ)」があります。意味は似ていますが明確な違いがあります。
設立は、登記申請を済ませた日を「設立日」とすることから、正式な届出をしている組織や法人の場合に用いられます。
創立は、登記申請の有無に左右されないため、学校などの教育関連の団体でも用いられる言葉です。
ビジネス的な意味に限定されていない面も特徴のひとつといえます。
そう‐りつ【創立】 組織や機関を初めてつくること。創設。「会社を—する」「—記念日」
引用元:
「創立」weblio辞書
開業・起業・創立が使われるシーンを紹介!
ここでは、どのようなシーンでそれぞれの用語が使われているのかを具体的に解説します。
それぞれの言葉が実際にどのようなシーンで使われているのかを知ることで、より理解しやすくなりますのでご参考ください。
店舗や病院など実店舗を開く場合
飲食店やホテル、商業施設や病院など実店舗を立ち上げるときは、主に「開業」が用いられます。
店舗の立ち上げに関する用語は、さまざま存在します。お店を開く、開店、みせびらき、オープンなどです。
注目すべきは、どの単語にも「開」という用語が含まれている点です。
店舗のドアを開いて新たにスタートする様子を表現しているようにも捉えることができます。
個人事業主・フリーランスになる場合
個人事業主やフリーランスになるときも「開業」がよく用いられます。
この由来は前述した通り、開業届の申請が深く関係しています。
ただ、個人事業主ではあるものの人を雇って組織化するケースはどうでしょうか。
例えば、オーナーシェフとして飲食店を経営して複数人を雇い入れたり、美容院なども同じように店舗経営をする人は少なくありません。 しかしこの場合も、「お店を開く」ことに変わりはなく、一般的に”開業”で問題ありません。
また、ライターやデザイナーなどクリエイティブ関連の職種でも、仕事が増えたことによって人を雇うようになり、法人化する人もいます。
法人化の登記申請を行えば、そこから”設立”という表現を用いることが増えていきます。状況によって使われる言葉が変わっていくのです。
新ビジネスを立ち上げる場合
新たにビジネスを始めるときは「起業」「創業」が一般的によく使われます。創業は企業形態を問わない事業全般のスタートを意味します。
また、時系列の面から見た場合、過去の立ち上げについて用いられます。
起業も事業の立ち上げを意味しますが、最近では今までにない斬新な事業を始めるときによく用いられます。
飲食店や洋服店などサービス業関連の店舗も、立派なビジネスです。しかし、この場合は創業や起業という言葉はあまり使われません。
店舗などの立ち上げだとしても、新しいビジネスモデルでスタートする場合は起業というワードを用いることができます。
設立年数や立ち上げた年度を伝える場合
会社を立ち上げるときは、「創立」「設立」などが用いられます。
これらは、どの段階を指すかで使用する言葉が変わるので注意が必要です。
例) ・2018年8月 「やるぞ!」と思いを胸に一念発起。同じ思いを持った仲間と事務所に集まり、ビジネス拡大に勤しんだ。 ・2019年1月 事業は順調に進み、人材や設備、環境も整ったため法人登記を行った。
この場合、「2018年8月 創立」「2019年1月設立」という表現になります。
まとめ
ビジネスを立ち上げる意味を持つ「開業・起業」。違いはご理解いただけましたでしょうか。今回はビジネス的な意味合いを強く持たない「創立」についても合わせて解説しました。
開業と起業の違いがわかったところで、今後取り組もうと思っているビジネスに大きな影響はないかもしれません。
ただ、明確に言葉の意味を理解しておけば独立した後に混乱せずに済むでしょう。ささいなことでも納得感を持って行動していくことは前進するうえでとても大切なことです。
これからもわからない言葉はうやむやにせず、自分の頭で理解していくようにしましょう。