「インバウンド需要を押さえましょう」
「インバウンド消費を取り込もう」
など、ビジネスシーンで「インバウンド」に対する情報を聞くことが増えてきました。
そもそも「インバウンドって何?」という基本から、インバウンド客や消費の増加の予測を解説します。あわせて、インバウンド消費を飲食店に取り組むための方法を5つ紹介します。
ライバル店に負けないように、ぜひ参考にしてください。
インバウンドって何?
インバウンド(Inbound)とは、外国人の訪日観光旅行のことです。
「内向きの」 「外から中に入ってくる」といった意味があり、転じて「外国人が日本へ観光にくる」という意味で使用されます。
観光庁では「訪日外国人旅行」という表現を使用していますが、観光業界では一般的に「インバウンド」という言葉が定着しています。
近年、日本政府は観光立国を目指し、インバウンド観光を経済成長の重要な柱として位置付けています。外国人観光客の増加は、地域経済の活性化や雇用創出にも大きく貢献しています。
外国人観光客が増えた背景
外国人観光客が急増した背景には、いくつかの重要な要因があります。政府による積極的な観光振興策が大きな役割を果たしており、ビザ発給要件の緩和や免税制度の拡充などを実施してきました。
また、格安航空会社の就航増加により、アジアからの渡航費用が大幅に低下したことも、訪日観光客増加の追い風となっています。さらに、日本食や日本文化への関心の高まり、そして円安による旅行費用の相対的な低下も、訪日観光の魅力を高める要因となっています。
外国人観光客の実態
画像引用元:観光庁 令和2年観光の状況
海外から日本を訪れる観光客(インバウンド客)によって生み出される国内消費を「インバウンド消費」といいます。
日本を訪れる外国人旅行者数は2013年に初めて1,000万人を突破し、コロナ禍前の2019年には7年連続で過去最高を更新、3,188万人に上りました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、2020年には412万人、インバウンド消費は前年比約85%減の、7,446億円と落ち込みました。
画像引用元:観光庁 令和2年観光の状況
インバウンド客はどこの国の人が多い?
国・地域別にみると、アジアからの訪日外国人旅行者数が332万人、全体の80.6%を占めます。
一番多いのは中国で107万人、次いで台湾(69万人)、韓国(49万人)と続き、この3カ国・地域だけで全体の63%を占めるのです。
この旅行者の構成比は、コロナ禍前後でも、大きな変動はありません。
画像引用元:観光庁 令和2年観光の状況
中国人観光客向けおすすめサービス
中国人観光客に人気のあるサービスとして、モバイル決済対応が挙げられます。AirPAY QR(エアペイ)やWeChat Pay(ウィーチャットペイ/微信支付)などの決済システムの導入は、中国人観光客の利便性を大きく向上させています。
中小企業の資金繰りをサポートするマネフロで、おすすめのモバイル決済サービスを紹介しているので飲食店を経営されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
参考: 【店舗向け】中国人観光客向けQRコード・アプリ決済サービス4選
また、館内案内の中国語表記や中国語対応スタッフの配置も重要なサービスです。特に、観光施設や大型商業施設では、中国語による案内放送や案内表示の充実が求められています。
買い物環境の整備も欠かせません。免税手続きの簡素化や、人気商品の在庫確保、中国語による商品説明の充実など、きめ細かな対応が効果的です。
インバウンド需要・消費はいつ戻る?
日本政府は、新型コロナウイルスの水際対策を、2022年6月10日から大幅に緩和しました。
1日あたりの入国者数の上限を、「約1万人」から「約2万人」に倍増。
政府が認めた、感染リスクが低い98カ国・地域からの添乗員付きパッケージツアーから、入国が開始されています。
ツアー客や団体客の来店が期待できる飲食店から、客足に大きな影響が出始めることになるでしょう。
円安の影響でインバウンド客の増加が加速する
「円安 = インバウンドに追い風」と言われており、訪日旅行者が増えると考えるためです。
日本語や文化があまりわからない人が来るなど、円安は来客の客層を変える可能性があります。
- インバウンド回復により起こる 飲食業界への影響
- インバウンド客が一番困る場所は飲食店
これからのインバウンド客について、それぞれ解説します。
インバウンド回復により起こる飲食業界への影響
円安が進むことで外貨をもって入国してきた外国人にとっては、使えるお金が増えていきます。
例えば、アジア旅行に行った人が「物価が安いからたくさん使っちゃった!」と同じ感覚です。
インバウンド消費額が伸びるので、飲食店でも多く使ってくれることが期待できます。
特に「お好み焼きの上で踊るカツオ節」などのような、外国人が楽しめる「コト消費」を提供する飲食店が注目されそうです。
インバウンド客が一番困る場所は飲食店
環境庁の調査で、インバウンド客の訪問先で困る場面は「飲食店」との調査があります。
画像引用元:「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果
具体的には、インバウンド客は飲食店において、多言語表示やコミュニケーションで困っているようです。
65%以上の人が「料理を選ぶ・注文する」と答えています。
次の項目では、どのような対策が求められるのかを解説します。
他の飲食店よりインバウンド消費の受け皿にする方法5選
旅行者が困った際の約2人に1人が、自分のスマートフォン・タブレットにインストールした翻訳アプリを使って解決しています。
つまり、 スマートフォン・タブレットを使いやすい環境があるお店が、利用したいと思われやすいといえるでしょう。
このことも踏まえて、自分の飲食店を利用しようと考えてもらえるための、有効な対策を5つを解説します。
- 写真と英語メニュー(多言語メニュー)を作成
- 英語の接客フレーズ集を作成(案内の多言語化)
- Wi-Fi環境の整備
- 現金以外の決済システム導入
- SNSやGoogle Mapなどでの好印象を与える活動
1. 写真と英語メニュー(多言語メニュー)を作成
画像引用元:「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果
国際語の英語のメニュー表記以上に、そのメニューがどんな料理かがわかる「写真・イラスト入りのメニュー」が、より多くの旅行者に求められています。
日本語が苦手、言葉では料理がイメージできないことや、宗教上の理由などで、食べれない食材等があるためです。
2. 英語の接客フレーズ集を作る(案内の多言語化)
画像引用元:「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果
「スタッフが全く言葉を話そうとしてくれなかった」
「スタッフが話そうとしたがスキル不足」
と、コミュニケーションで困る場面が多いです。
コミュニケーションツールとして、よくある質問を英語などで翻訳した「指差し会話シート」も有効です。
3. Wi-Fi環境の整備
画像引用元:「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果
インバウンド客は、日本の通信回線が使えるポケットWi-Fiや、SIMを購入・レンタルするなどしていることが多いです。
どちらも高額になりがちなため、通信料節約に「無料Wi-Fi」を求められます。
実際、環境庁の調査でも、旅行中の困ったことの内「無料公衆無線LAN環境」の不足が上位です。
お店選びや、安心して利用したくなるお店として、無料で使えるWi-Fiが設置されていることは有効な対策と言えるでしょう。
4. 現金以外の決済システム導入
先ほどの画像には、旅行中に困ったことのうち、飲食店に関わるものとして、「クレジットカード / デビットカードの利用」「両替」があります。
海外では、偽札や強盗などのリスクの多さから、現金を持ち歩かないカード決済が主流です。
インバウンド客の利用しやすい環境として、現金以外の決済システムの導入は有効な対策と言えます。
5. SNSやGoogle Mapなどでの好印象を与える活動
画像引用元:「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果
インバウンド客は、スマートフォンやタブレットを使って困ったことを解決す事が多いです。
お店選びもSNSやGoogle MapなどのWebでの情報を頼りに判断することでしょう。
そのため、幅広くお店を認知してもらうためにも、好印象を与える活動は必須です。
上記の1〜4の方法を実践し、SNSやWebで広くシェアしてもらえるようにすることが、インバウンド客を集客するカギとなるでしょう。
まとめ
インバウンド客のこれまでと、これからの動向予測、インバウンド消費の受け皿になるための5つの方法を解説しました。
早めの対策と、オペレーションを整えることで、今後戻ってくるインバウンド客を迎え入れることができます。
コロナ禍前までの消費額までは時間がかかることも予想されますので、少しずつでも対策してみてはいかがでしょうか?