飲食店を開業するには店舗のレイアウトを考えなくてはいけません。
ただ、開店前の準備段階において店舗のレイアウトは軽視されてしまう傾向があります。
レイアウトは飲食店においてとても重要で、レイアウトがよくなければ居心地の悪い店舗になってしまいかねません。
そこでこの記事では、飲食店のレイアウトについて紹介していきます。
- 飲食店を構成するスペース
- 飲食店レイアウトの選び方
- 飲食店レイアウトを選ぶときに意識するべきポイント
などについて解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店を構成する4つのスペース
店舗のレイアウトを考える上でまず把握しておきたいのが、飲食店を構成するスペースについてです。
飲食店を構成するスペースを大きく分けると、4つに分けることができます。
- 客席
- 厨房
- トイレ
- バックヤード
それぞれ詳しく解説していきます。
客席
飲食店においてスペースの半分以上を占めるのが客席です。
カウンターやテーブル席、座敷など席の種類はいくつかあり、店舗の客層や雰囲気にあわせてレイアウトを考えなくてはいけません。
専有部分が大きい上にお客さんが利用するメインスペースとなるため、店舗のレイアウトを考える上で非常に重要になります。
厨房
厨房も飲食店のメインスペースの一つです。
お客さんが利用するスペースではないものの、厨房のレイアウトによって調理のしやすさに影響があり、営業する上で客席同様に重要な箇所です。
厨房のレイアウトの種類
厨房のレイアウトの主な種類は、4つです。
- 直線型
- L型
- 2列型
- アイランド型
直線型はキッチンの設備が直線に配置されている厨房のレイアウトで、店主が一人で切り盛りするような小規模店舗に採用されることが多いです。
一人で営業する小規模な店舗であっても、取り扱っているメニューが多ければ直線型ではなくL型のレイアウトが採用される傾向にあります。
2列型のレイアウトは複数人のスタッフが働く中規模や大規模の店舗に導入されやすいレイアウトです。
調理場のスペースを2列並べて配置するので、移動するためのスペースをしっかりと確保しつつ、スタッフ同士が連携しやすくなっています。
アイランド型は、客席から見える位置に厨房を配置する飲食店で導入されることが多いレイアウトです。
客席から見える位置にサブの厨房や作業スペースを用意し、その後ろにメインの厨房を配置します。
トイレ
居酒屋などお客さんが長居するような飲食店において重要になるのがトイレのレイアウトです。
お客さんが何度もトイレを利用するような店舗の場合、トイレが利用しづらいレイアウトにしてしまうと居心地が悪くなってしまいます。
ただ、利用しやすさを意識するあまり客席とトイレの位置を近づけてしまうと衛生的によくないため、その点も意識しながらレイアウトを考える必要があります。
バックヤード
倉庫や事務所、従業員の更衣室などで利用するバックヤードは、スタッフの働きやすさに影響するスペースです。
食材や備品のストックを保管するのであればホールやキッチンとの位置関係が重要になります。
飲食店における最適なレイアウトの選び方
お客さんに居心地がいいと感じてもらえるレイアウトを実現するには、レイアウトの選び方についても把握しておかなくてはいけません。
飲食店における最適なレイアウトの選び方として、3つがあげられます。
- 理想とする店舗のレイアウトを参考にする
- 繁盛店のレイアウトを参考にする
- 店舗のコンセプトや雰囲気にあわせて選ぶ
それぞれ詳しく解説していきます。
理想とする店舗のレイアウトを参考にする
飲食店を開業したいと考えている方の中には「〇〇みたいな店舗にしたい!」という理想の店舗イメージがある方も多くいらっしゃると思います。
既存店舗のレイアウトを参考にするのも一つの手です。
レイアウトを考える上で最も重要になるのは営業しやすさや使いやすさなので「かっこいいから」「オシャレだから」という理由で参考にするのはおすすめできませんが、理想の店舗レイアウトは参考になるでしょう。
繁盛店のレイアウトを参考にする
既存店舗のレイアウトを参考にする場合は、自分が理想としている店舗ではなく繁盛している店舗のレイアウトを参考にするという考え方もあります。
料理のおいしさだけで繁盛している店舗など一部例外もありますが、繁盛店のレイアウトはよく考えて設計されています。
理想の店舗のレイアウトを採用するとどうしても見た目に比重が寄ってしまいますが、繁盛店のレイアウトを参考にする場合であれば純粋に飲食店を営業する上で効率が良いレイアウトを参考にできるのでおすすめです。
店舗のコンセプトや雰囲気にあわせて選ぶ
店舗のレイアウトはお店のコンセプトや雰囲気にあわせなくてはいけません。
例えば、高級なメニューを提供していて客単価も高い店舗であれば客席が近くなってしまうようなレイアウトは避け、すべての客席を個室にする方がいいケースもあるでしょう。
逆に大衆居酒屋のような店舗にしたいのであれば、客席と客席の間に区切りを設けず、席同士を近くするレイアウトの方がふさわしくなります。
理想の店舗や繁盛店のレイアウトを参考にする場合も、自分の店舗のコンセプトや雰囲気と近い店舗のレイアウトを参考にするようにしてください。
飲食店のレイアウトを考えるときに意識するべき5つのポイント
実際に店舗のレイアウトを考える際、いくつか意識するべきポイントがあります。
飲食店のレイアウトを考えるときに意識するべき主なポイントとしてあげられるのは5つです。
- メインターゲットを意識して考える
- お客さんの導線を考える
- スタッフの導線を考える
- インフラ設備の位置を意識してレイアウトを考える
- 掃除のしやすいレイアウトを意識する
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
メインターゲットを意識して考える
店舗のレイアウトは、店舗のメインターゲットととなる客層を意識して考えなくてはいけません。
家族連れをメインターゲットにしているのであれば客席はなるべく離れて設置したり、席やテーブルの面積も広めのものを導入するべきです。
また、小さなお子さんを連れているお客さんにはテーブル席よりも座敷の方が喜ばれます。
メインのターゲット層が使いやすいと感じるレイアウトや、過ごしやすいと感じるレイアウトを意識して考えるようにしましょう。
お客さんの導線を考える
導線が複雑で利用しにくい店舗にリピーターはつきません。
そのため、店舗のレイアウトを考える際は、お客さんが店内をスムーズに行き来できるかどうかを意識しなくてはいけません。
お客さんが店内を行き来するタイミングはそう多くありませんが、客席からトイレやレジ、出入り口にスムーズにアクセスできるかは重要です。
お客さんが迷ってしまったり遠回りしてしまうようなレイアウトはなるべく避けるようにしましょう。
スタッフの導線を考える
店舗のレイアウトを考えるときは、お客さんの導線だけでなくスタッフの導線も考えなくてはいけません。
店舗ではお客さんよりもスタッフが行き来する頻度の方が高いため、お客さんの導線以上にスタッフの導線の方が重要です。
厨房から客席まで料理を運ぶ際の導線や厨房からバックヤードへの導線など、店舗で働くスタッフがスムーズに仕事ができるレイアウトになっているかどうかを意識して考えるようにしましょう。
インフラ設備の位置を意識してレイアウトを考える
店舗には、電気やガス、水道などのインフラ設備があります。
レイアウトを考えるときはインフラ設備の位置も意識しなくてはいけません。
これは、居抜き物件を活用して飲食店を始めようと考えている方が特に意識しなくてはならないポイントです。
居抜き物件の場合、電気のコンセントなどインフラ設備の位置が決まっているため、店舗のレイアウトがある程度制限されてしまいます。
インフラ設備の位置を無視してレイアウトを組んでしまうと、「電子機器を設置したいのにコンセントがない…」といったトラブルが発生してしまいかねません。
居抜き物件のインフラ設備を移動するには莫大な費用がかかるので、初期費用を抑えるためにもインフラ設備の位置を意識したレイアウトが必須になります。
掃除のしやすいレイアウトを意識する
飲食店には清潔なイメージが欠かせません。
不潔・不衛生な印象をあたえてしまうと、そのお客さんは二度と店舗に足を運んでくれません。
また、清潔にしていないと食中毒や害虫が発生する可能性もあります。
飲食店が清潔さを保つには定期的に掃除をおこなう必要があるので、掃除のおこないやすさも店舗のレイアウトを考える上で重要なポイントの一つになります。
掃除がしにくいレイアウトにしてしまうと日々の掃除を面倒に感じ、雑になってしまったり掃除が行き届かなかったりする可能性があります。
そうなってしまわないためにも、掃除のしやすさも考慮しながらレイアウトを考える必要があるのです。
まとめ
飲食店のレイアウトについて紹介してきました。
飲食店は開業するまでにやるべきことが多く、開店にこぎつけるまでがとにかく大変です。
資金の調達や仕入れ先の選定などに比べるとレイアウトは軽視されてしまいがちですが、レイアウトは繁盛店を作る上でとても重要な要素なので決して軽視するべきではありません。
今回ご紹介したレイアウトの選び方やレイアウトで意識するべきポイントを参考にして理想の飲食店開業を目指してください。