飲食店を開業する際、事前にしっかりと設けておくべきだと言われる「ハウスルール」。
実際、耳にしたことがある方や気になっているという方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、飲食店のハウスルールについて紹介していきます。
- ハウスルールの概要
- ハウスルールを設けることで期待できる効果
- ハウスルールを設定する際のポイント
なども紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
ハウスルールとは
ハウスルールとは、そのお店でのみ通用する独自のルールです。
飲食店のハウスルールが事例として取り上げられることが多いため、飲食店独自のものと捉えられてしまいがちですが、ハウスルールはどの業種でも取り入れられているものです。
ルールと言っても罰則のようなものが設けられているわけではなく、あくまでもその店舗の従業員同士が気持ちよく働くために設定するものになります。
飲食店がハウスルールを設けることで期待できる効果
ハウスルールは必ずしも設定しなくてはいけないものではありません。
ただ、設定している飲食店が多いのは、ハウスルールを設けることでさまざまな効果が期待できるようになるからです。
飲食店がハウスルールを設けることで期待できる主な効果として、以下の4点があげられます。
- オペレーションの質を高めることができる
- オペレーションの質のバラつきを防げる
- スタッフのモチベーションを高められる
- 良好な人間関係を保てる
それぞれの効果について詳しく解説していきます。
オペレーションの質を高めることができる
飲食店で働くスタッフの中には、「飲食店で働くのが初めて」というスタッフもたくさんいます。
中には働くこと自体が初めてというスタッフもいるでしょう。
ハウスルールではお客さんへの接し方など仕事に対するルールの設定もおこなうため、経験が浅いスタッフにも仕事をする上での基本的な考え方や心構えを理解してもらえるようになります。
その結果、オペレーションの質を一定のレベルにまで高められるようになります。
オペレーションの質のバラつきを防げる
ハウスルールを設けていない店舗の場合、サービスの提供の仕方やお客さんへの接し方に対する考え方を統一することができません。
その結果、オペレーションの質にもバラつきが生じてしまいます。
オペレーションの質にバラつきが生じるようになると、飲食店にとって欠かせないリピーターやファンが生まれづらくなり、店舗にとって損失につながりかねません。
一方、ハウスルールを設けている場合、店舗運営や接客に対する考え方・意識をスタッフ全員で共有できるため、オペレーションの質のバラつきを防げるようになります。
スタッフのモチベーションを高められる
ハウスルールを設定すると、スタッフが一丸となって店舗の運営に取り組めるようになります。
「チームで働いている」「同じ目標に向かって頑張っている」という意識は、スタッフのモチベーションを向上させてくれます。
ハウスルールが設けられていない店舗の場合、それぞれのスタッフが別の方向を向いて店舗運営にあたってしまう傾向にあります。
それではスタッフのモチベーションは高まらず、逆にモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。
そういった事態を避けるためにも、しっかりとハウスルールを設け、スタッフ全員が同じ目標に向かって頑張れる環境を用意してあげる必要があります。
良好な人間関係を保てる
中小規模の飲食店の中にはハウスルールを設けていないという店舗もたくさんあります。
しかし、最低限守るべきルールが決まっていないと人間関係がギスギスしてしまうかもしれません。
例えば、タイムカードを切るタイミングがおかしい人がいたり、一人だけ休憩時間が長いいと、他のスタッフが不公平感を感じるようになってしまいます。
不公平感や不満を感じるスタッフが出てきてしまうと、良好な人間関係を保つことができなくなるので、公平な労働環境のためにもハウスルールを設けることが重要です。
飲食店のハウスルールの実例
ハウスルールを設ける場合、どういったルールを設ければいいのかについて把握しておくことが大切です。
ここでは、以下の3つに分け、ハウスルールの実例について解説していきます。
- 仕事のルール
- 衛生面でのルール
- 職場でのルール
仕事のルール
仕事のルールは、お客さんに気持ちよく店舗を利用してもらう上で重要になるルールです。
- 店舗の経営理念やビジョン
- QSCA
- お客さんへの接し方
などが代表的なものとしてあげられます。
店舗はスタッフ同士が一丸となり、チームで作り上げていくものです。
スタッフ一人ひとりが同じ方向を目指して店舗を運営していくためにも、店舗の経営理念やビジョンの把握、理解が欠かせません。
QSCAは、
- Quality(品質)
- Service(サービス)
- Cleanliness(清潔)
- Atmosphere(雰囲気)
の頭文字をとった考え方で、飲食店の基本方針として取り入れられている考え方になります。
飲食店の運営に携わる上で最低限理解しておきたい考え方・理念になるため、スタッフ一人ひとりにしっかりと覚えてもらう必要があります。
また、飲食店はサービス業なので、お客さんへの接し方に関するルールの設定も欠かせません。
接客用語や対応するときの表情、ホールで待機しているときの姿勢に関するルールなどが代表的なものとしてあげられます。
衛生面でのルール
飲食店のハウスルールの中でも特に重要なのが、衛生面でのルールです。
飲食店は常に衛生的でなくてはいけないため、ハウスルールにも衛生面でのルールを設ける必要があります。
代表的なのが身だしなみに関するルールです。
スタッフの身だしなみがだらしないと感じられる店舗や不潔に感じられる店舗では誰も食事したいとは思いません。
そのため、髪の毛の長さや色に関するルールや、爪の長さ・ヒゲを定期的に整えるなどのルールを設け、気持ちよく利用してもらえる環境を整えます。
また、食中毒の発生を防ぐために手洗いに関するルールを設ける店舗もあります。
職場でのルール
スタッフ同士が気持ちよく働ける環境を作る上で重要になってくるのが、職場でのルールです。
- 挨拶のルール
- 出勤時や退勤時のルール
- 休憩に入るときのルール
- 施設を利用するときのルール
など、スタッフ同士がお互いに不満を感じることなく、良好な関係を維持した状態で働くためのルールを設定していきます。
出勤したら必ず挨拶するのはもちろん、後ろを通るときに声掛けするという決まりを設けておけばスタッフ同士がぶつかってしまうのを避けられます。
出勤時や退勤時のタイムカードに関するルールは特に不公平感が生じやすいので、どのタイミングでタイムカードを切るかルールを決めておくといいでしょう。
このように職場で働く上でのルールを決めておき、意識してもらうことで、良好な関係を維持できるようになります。
飲食店がハウスルールを設けるときに押さえておきたい3つのポイント
ハウスルールは、ただ設定すればいいわけではありません。
押さえるべきポイントを意識せずに雰囲気やイメージだけで設定してしまうと効果を発揮できず、現場を混乱させてしまう可能性すらあります。
飲食店がハウスルールを設けるときに押さえておきたいポイントとしては、3つがあげられます。
- なるべくシンプルにする
- 誰でも理解できるようにする
- 定期的に見直す
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
なるべくシンプルにする
ハウスルールを設定するときは、なるべくシンプルにするように心がけてください。
細かくて複雑なルールは、覚えるのはもちろん理解するのも大変です。
何より、新しく入ってきたスタッフのモチベーションを下げてしまいかねません。
ハウスルールはあくまでもスタッフ同士が気持ちよく働くためのルールであって詳細なマニュアルではないので、なるべくシンプルで覚えやすい・理解しやすいものを設定するようにしましょう。
誰でも理解できるようにする
「なるべくシンプルにする」というルールにもつながってきますが、ハウスルールは誰が見ても理解できるようなものでなくてはいけません。
例えば、専門用語だらけのハウスルールは理解するのが難しく、スタッフのやる気を削いでしまう可能性があります。
また内容が難しかったり専門用語だらけだと、逐一内容を説明する必要があり、余計な時間と手間がかかります。
そういったことを省くためにも、わざわざ説明しなくても理解できるような内容のハウスルールを設定するようにしてください。
定期的に見直す
ハウスルールは定期的に見直して、そのときどきに最適化するのがおすすめです。
ハウスルールは経営者や店主など管理する側の人間が設定することがほとんどですが、どうしても偏ったルールになってしまう傾向にあります。
ハウスルールはスタッフが気持ちよく働ける環境を作るために設けるルールなので、偏った意見や考えで設定されていては意味がありません。
そのため、現場で働く従業員の意見を取り入れつつ、最適化させていく必要があります。
まとめ
飲食店のハウスルールについて紹介してきました。
ハウスルールは、「必ず設けなくてはいけない」というものではありません。
ただ、繁盛している飲食店や気持ちよく利用できる飲食店では、基本的にハウスルールが設けられ、働くスタッフの間でそのルールが浸透しているものです。
ルールを考えたり定期的に見直したりする必要があるため手間はかかりますが、手間以上の効果をもたらしてくれるので積極的に取り入れるべきです。
飲食店の開業を検討しているのであれば、ぜひハウスルールの導入を検討してみてください。